リハビリや食事介助の現場では、「ほんの少しの工夫」が、その人の安全と安心を大きく変えることがあります。
姿勢の角度、クッションの置き方、声かけのタイミング――どれも特別な道具がなくても、今日から実践できる大切なポイントです。
この「現場ワンポイント」シリーズでは、リハビリ専門職の視点から、安全な姿勢づくりや嚥下ケア、栄養補助の工夫など、日々の現場で役立つ実践的なヒントをわかりやすくお届けします。
患者さんやご家族の安心につながる“小さな気づき”を、ぜひ日常のケアに取り入れてみてください。
現場ワンポイント①
「飲めた=栄養が足りている」ではありません
見た目にはしっかり飲めていても、たんぱく質量が不足しているケースは少なくありません。
リハビリで筋力維持・回復を目指す場合は、(補助栄養食1本あたり)7g以上のたんぱく質が含まれているかをチェックすることが大切です。
「量」よりも「中身」に注目することが、回復の質を高めるポイントです。
現場ワンポイント②
リハ後30分が“栄養ゴールデンタイム”
運動後30分以内は、筋タンパク合成が高まりやすいタイミングです。
この時間帯に、エネルギー+たんぱく質を同時に補給できるドリンクやゼリーを取り入れることで、トレーニング効果をより引き出すことが期待されます。
現場ワンポイント③
嚥下が不安な方は「姿勢」と「粘度」もセットで考える
ゼリータイプを使う場合でも、やや前屈位で顎を引いた姿勢を意識するだけで、誤嚥リスクが下がることがあります。
また、水のようにサラサラした飲料より、まとまりのある物性の方が安全に摂取できる場合も多いです。
現場ワンポイント④
味の好みは“継続率”に直結します
栄養価が高くても、「おいしくない」と感じると続きません。
コーヒー味・フルーツ味・スープ系など、複数のフレーバーを試すことで、摂取継続につながりやすくなります。
現場ワンポイント⑤
体重変化は“栄養状態のサイン”
週1回でも体重をチェックすることで、低栄養の早期発見につながります。
体重減少が見られた場合は、間食や補助飲料の導入を検討するひとつの目安になります。
さらに深く切り込む ベッドギャッジは45度がいいの?
どうして角度が重要なの?
嚥下(飲み込む動き)は、舌・のど・喉頭などが協調して働く複雑なプロセスです。
姿勢が低すぎると、重力が効きすぎて誤嚥リスクが高まることがわかっています。
45度は“重力と安全のバランス”の一つの目安
- 背もたれを45°程度に起こすことで、
✔ 食べ物や飲み物が誤って気管に入りにくくなる
✔ 舌や喉頭の動きが比較的安定する
という理由で、嚥下リハビリの本やガイドに多く登場します
🛏 でも… “45度が絶対”ではないよ
💡実際の現場のポイント
- 嚥下機能の状態
- 体幹の安定性
- 呼吸パターン
- 病態(例えば誤嚥性肺炎リスクが高い場合)
によって、最適な角度は変わることがあります。
たとえば…
- 少し前傾(30〜40°)の方が楽に飲める人
- 背もたれをもっと高くして60°近くが安全な人
- 頭頸部(首)を軽く前に倒す顎引き姿勢が有効な人
など、「個別の安全姿勢」を評価することが大切です。
実践で注意したいポイント
✅ 体幹を安定させる
椅子やベッドで体が左右にぶれないようにサポート(クッションなど)
✅ 顎を軽く引く(chin-tuck)
嚥下では、軽い顎引きが“入口を安全にする”助けになることが多いです。
✅ ペースと声かけ
ゆっくり一口ずつ、次の一口までの休息を意識する
✅ 個別評価を忘れない
専門職(醫師、ST、PT/OT、看護師)で嚥下評価をして、安全な姿勢と介助方法を決めることが最重要です。
まとめ(やさしいポイント)
45度は“多くの人に安全とされる目安”として書かれている
でも、その人の機能や反応に合わせて調整することが大切
45度より浅い/深い角度が合う人もいる
角度だけでなく、顎引き+体幹の安定+一口ずつの組み合わせで安全性アップ
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