FAB(Frontal Assessment Battery)は脳の前頭葉の機能に関する検査です。検査は、言葉の概念化、言語流暢性、運動プログラミング、干渉への感受性、抑制性制御、理解行動の6つの項目で構成されています。
FABは、検査時間が短く、特別な器具を必要としません。8歳以上で満点の18点が取れるとされています。前頭葉機能や認知機能に問題がある場合は点数が低くなります。
検査前の注意事項
検査者は被験者の正面に座ります
準備物
準備物はFABの検査用紙とストップウォッチです。
1.類似性
「これから言うものは、どこが似ている(共通)か考えて答えてください」と質問します。
① 「バナナとオレンジ」(正解:果物・フルーツ・食べ物)
② 「机と椅子」(正解:家具)
③ 「チューリップとバラとヒナギク」(正解:花・植物)
※導入時に理解しにくい方には、例題で「電車」と「バス」を提示します。(正答)乗り物・交通機関。例題の回答に戸惑ったり誤ったりした場合は、検査者が、「電車とバスは乗り物ですね」と正答を言い検査を開始します。
被験者が、複数回答した中に正答が含まれていれば正答とします。
1問目のみヒント可能であり、完全な間違いや「皮がある」などの部分的な間違いの場合は「バナナとオレンジはどのようなところが似ていますか?どのような共通点がありますか?」とヒントを出します。
2問目以降は正答がでなくてもヒントを与えず、15秒程度何も反応がなければ次の問題に進みます
1.類似性 採点基準 | |
3問とも正答できた | 3点 |
2問正答できた | 2点 |
1問正答できた | 1点 |
正答なし | 0点 |
2.語の流暢性
「”か”で始まる単語をできるだけたくさん言ってください。ただし、人の名前や地名は除きます」と質問します。(制限時間:60秒)
①検査を開始して5秒経っても反応がない場合「例えば、紙がありますよね」とヒントを提示します。
②10秒経っても反応がない場合は、「”か”で始まる単語を言ってください」と回答を促します。
③ ②の後に沈黙があっても声をかけずに60秒間待ちます。
”か”で始まる単語でも単語の繰り返し、変形(例えば傘→傘の柄)、人物と地名は誤答とします。
60秒を待たずに10個の正答がでた場合は、検査を終了して良いこととします。
発した単語はすべて記録します。
2. 語の流暢性 採点基準 | |
1分間で10単語以上発することができた | 3点 |
1分間で6~9単語発することができた | 2点 |
1分間で3~5単語発することができた | 1点 |
1分間で2単語以下であった | 0点 |
3.運動プログラム
まず始めに、被験者の使用手を確認します。検査者は被験者が使用する反対側の手(被験者が右手なら検査者は左で行う)を使用し、被験者と検査者が「かがみ」の状態になるように行います。
練習
「私がすることをよく見てください」と言い、Luria列動作を3回実施します。
Luria系列動作
1)手を拳(fist)にして、机の上をたたきます
2) 次に手を刀(edge)にして机の上をたたきます
3)最後に手を掌(palm)にして、机の上をたたきます
以上の連続動作を一組とし、それを3回繰り返します。
本番
「では、同じことをしてみましょう。最初は私と一緒にやります。その後に一人でやっていただきます。」と教示し、検査者と一緒に3回繰り返します。3回繰り返した時点で「このまま続けてやってください」と被検者に動作継続を促します。
途中でやめた人には「もう少し続けてください」と連続動作を促します。
検査者は教示時に「グーやパー」などの言語化はしません。
連続動作を間違えた時点で終了とします。
3.運動プログラム 採点基準 | |
被検者一人で、正しい動作を6回連続してできた場合 | 3点 |
被検者一人で、正しい動作を少なくとも3回連続してできた場合 | 2点 |
被検者一人ではできないが、検査者と一緒に正しい動作を3回連続してできた場合 | 1点 |
検査者と一緒でも3回連続して正しい動作を行えない場合 | 0点 |
4. 葛藤的指示
練習1
「まず、私が1回たたいたら、あなたは2回たたいてください」と指示します。
「1-1-1」と指で机をたたきます。
被検者が2-2-2と反応できれば正解です。(被検者が指示の理解ができたか確認します。)
練習1で間違う場合は練習2に進まずこの検査は0点として終了します。
練習2
「今度は私が2回叩いたら、あなたは1回叩いてください」と指示します。
「2-2-2」と指で机を叩きます。
被検者は1-1-1と反応すれば正解です。
練習2で間違う場合は、本番に進まずこの検査は0点として終了します。
本番
「次は1回叩いたり、2回叩いたりするのでやってみましょう」と指示し、動作を開始します。
「1-1-2-1-2-2-2-1-1-2」
被検者は2-2-1-2-1-1-1-2-2-1と間違えなく反応できれば正解とします。
練習1、練習2の際は練習段階であるので、被検者からの質問に答えることは可能です。
本番では、被検者からの質問には答えることはできません。
本番では、途中で間違えてもやり直さずに最後まで実施します。
検査者は、検査用紙メモ欄に、正しくたたいた数を記入します。
4. 葛藤的指示 採点基準 | |
すべてに間違いなく反応できた | 3点 |
1または2回の間違いで最後まで行えた場合 | 2点 |
3回以上間違えるが、最後まで行えた場合 | 1点 |
被検者が4回以上連続して被検者と同じように叩いた場合 | 0点 |
5. 抑制コントロール(Go/No-Go)
練習1
「今度はやり方が変わります。まず、私が1回叩いたら、あなたは1回叩いてください」
「1-1-1」と指で机を叩き練習します。
被検者は1-1-1と反応できれば正解です。(被検者が、指示を理解できたか確認します。
練習1で間違う場合は、練習2に進まずこの検査は0点として終了します。
練習2
「今度は、私が2回叩いたら、あなたは叩かないでください」
「2-2-2」と指で机を叩き練習します。
被検者は0-0-0と反応しないことが正解です。
練習2で間違う場合は、本番に進まずこの検査は0点として終了します。
本番
「次は1回、または2回叩きます。それでは開始します」と指示し開始します。
「1-1-2-1-2-2-2-1-1-2」
被検者は1-1-0-1-0-0-0-1-1-0と間違えなく反応できれば正解とします。
練習1と練習2の際は練習段階であるので、被検者からの質問に答えることは可能です。
本番では、被検者からの質問には答えることはできません。
本番では、途中で間違えてもやり直さずに最後まで実施します。
検査者は、検査用紙メモ欄に、正しくたたいた数を記入します。
5. 抑制コントロール 採点基準 | |
すべてに間違いなく反応できた | 3点 |
1または2回の間違いで最後まで行えた場合 | 2点 |
3回以上間違えるが、最後まで行えた場合 | 1点 |
被検者が4回以上連続して被検者と同じように叩いた場合 | 0点 |
6. 被影響性
指示1 「手のひらを上にして、両手を机の上にのせてください」
指示2 「私の手を握らないようにしてください」
被検者は、目を合わさず無言で、被検者の手のそばに寄せ、手のひらを合わせるようにそっと付け、手を握らないでじっとしていられるか1~2秒間観察します。
もし握ってしまったら、もう一度「私の手を握らないでください」と言って同じ動作を繰り返します。
最初に手を握っても、握らないように注意した後で改善できた場合は1点とします。
6. 被影響性 採点基準 | |
検査者が手のひらに触れても、被検者が手を握らない | 3点 |
被検者が戸惑って、何をすればよいか尋ねてきた場合 | 2点 |
被検者が戸惑うことなく検者の手を握ってきた場合は1点 | 1点 |
被検者の手を握らなくても良いと説明した後でも検者の手を握ってくる場合 | 0点 |
最終評価
それぞれの項目の点数を合計し、総点を出します。18点満点。
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