障害高齢者の日常生活自立度判定基準は、高齢者が日常生活をどれだけ独力で行えるかを評価する基準です。
また、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は認知症がある高齢者の日常生活能力を評価し、介護や支援の必要性を判定するための基準です。
これら2つの判定基準は、介護保険にかかわる事業所ではよく使用されています。
介護認定を受ける際には、医師は主治医意見書を作成し、介護認定調査員は調査票を作成し認定審査会に提出します。
主治医意見書と調査票の中でこの2つの判定基準の記載する箇所があります。審査会で介護認定を行う際、特に認知症高齢者の日常生活自立度判定基準を検討材料となることがあります。
また、介護サービス事業所において、計画書の中にこの2つの判定基準を記載する箇所がありますので、看護、介護、ケアマネージャー、リハビリは内容を確認しながらランクを付けるようにしましょう。
2つの基準について以下で説明します。
障害高齢者の日常生活自立度判定基準
※ 判定にあたっては、補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えありません。
ランク | 判定基準 |
---|---|
J 生活自立 | 何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する J1 交通機関を利用して外出する J2 隣近所なら外出する |
A 準寝たきり | 屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない A1 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する A2 外出の頻度が少なく、日中も寝たきりの生活をしている |
B 寝たきり | 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッドの上での生活が主体であるが、座位を保つ B1 介助なしに車いすに乗車し、食事、排泄はベッドから離れて行う B2 介助により車いすに移乗する |
C 寝たきり | 一日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する C1 自力で寝返りをうつ C2 自力では寝返りも打たない |
自立度判定する場合は評価日から1週間以内の状態で判定します。
うつ病など問題なくできる日や全くできなくなる日がある場合は、もともとできる能力で判定することがいいと思われます。
また、1週間の判定でできている日はほとんど少なく、ほとんど介助が必要な場合はできていることが少ないため「できない」と判定をします。
同じようなケースであっても、調査する人で区分の曖昧さはあると思われ、自立度判定のランクが異なることも経験します。ただ、介護認定審査会に申請する以外は多少の差があっても問題ないので、判定方法を見なが評価を進めてください。
車いすに移乗している場合はB判定で、寝たきりであればC判定、介助で外出できる場合はA判定、屋外に外出を一人でできるときはJ判定となります。
まずは判定分類を決定しましょう。B判定以下かA判定以上かを見てください。車いすを使用しているか、歩行しているかで判定が絞れます。判定後さらに細かくみることで結果を導き出すことができると思います。
B判定はベッド上で介助を受けていますが、介助で車いすに移乗できる状態です。
車いすを主に使用し食事や排泄をベッドから離れて、移乗や姿勢保持が自力で行える場合はB1として判定します。日中はほとんど自立していて、夜間のみ転倒の危険性などがありおむつで管理される人もB1として判定します。
食事のみ車いすで起きてリビングで食べる人や、排泄はおむつか、移乗が介助必要な人はB2の判定をします。B1はトイレ等行っていて寝たきりではない状態ですが、分類上「寝たきり」になります。
A判定は屋内歩行自立ですが介助がないと外出できない状態です。
ベッドで横になっている時間が多くほとんど外出しない人はA2。ベッドから離れていて介助者の介助があれば近所や短時間の外出が可能な人はA1と判定します。Aは分類上「準寝たきり」になります。
J判定は外出が一人でできる人が対象となります。
公共交通機関を利用して行動範囲が広い方がJ1。近所の寄り合いや近くの商店に買い物に行くことができる方はJ2と判定ます。子供の運転する車に乗って買い物に出かける人はA1かJ2か判断に迷うと言う意見がありますが、介助を必要としない買い物ができればJ2とし、付き添いや介助が必要な場合はA1と判定するのがいいと思われます。Jは分類上「生活自立」となります。
C判定はベッド上で過ごし、日常生活全般で介助が必要な状態です。
寝返りが打てる場合はC1。
寝返りが自分でできない人はC2となります。
介護度と障害高齢者自立度との関係
要介護者はBまたはC判定となることが多いです。要支援者はA判定となることが多いです。ただ、介護状態(介護の手間)によって認定区分を決定しているため、あくまでも参考程度としてください。
フロチャートも活用してみてね
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は高齢者の認知症の程度や日常生活への影響を明らかにすることに役立ちます。
この評価結果を参考にして介護プランやサポートが調整され、家族や介護者にも高齢者のケアにおいて適切な支援を提供します。
ランク | 判定基準 |
---|---|
Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している |
Ⅱ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる Ⅱa 家庭内で上記Ⅱの状態がみられる たびたび道に迷うとか、買い物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等 Ⅱb 家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる 服薬管理ができない、電話の対応や訪問者との対応など一人で留守番ができない等 |
Ⅲ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思の疎通の困難さが見られ、介護を必要とする Ⅲa 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる 着替え、食事、排泄が上手にできない、時間がかかる。 やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 Ⅲb 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる ランクⅢaに同じ |
Ⅳ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする 見られる症状・行動の例: ランクⅢaに同じ |
M | 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする 見られる症状・行動の例: せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 |
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はここの表ではⅠからとなっていますが、「自立」と書かれた項目がある場合があります。認知症がない場合はこの「自立」を選択してください。この認知症高齢者の日常生活自立度は現場でその都度確認していますが現状と調査員の数値は乖離している場合があるかもしれません。
「認知症または認知機能の低下がありますか?」という観点でみます。『内服管理や金銭管理の面で、施設に入所しているから全部介助を受けているので「Ⅱa」です』、と判定する前に再度考察しましょう。目が見えなくて薬の管理ができないのか?糖尿病性の神経障害から指の巧緻性が悪く薬の取り扱いができないのか?服薬介助を受けているとしても認知機能に問題ない場合はランクⅠ以上の可能性が出てきます。厚生労働省が提案している認知症ケアパスは病院や施設から在宅で生活できるように社会全体で取り組む体制作りです。この判定基準はそのために作成されました。「認知機能の低下があるか?」で考えましょう。
認知症があり、日常生活で介助や援助が必要になるとⅢとⅣの判定になりますが、このⅢとⅣの区別は非常に難しく、判定基準も「頻繁」「常に」であるため、どこまでがそれにあたるかはその人の判断でいいと思いますが、毎日の場合はⅣ、1週間に1回程度はⅢとしているようです。
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