後輩から、「~~さんと~~さんのご家族の希望は〇〇〇なので、それを加味して計画書を作成しました」と報告を受けました。後輩からさらに詳しい内容を聞きながら計画書を見てみると、現時点では病状と目標はとてもかけ離れていると思われる内容でした。
リハビリの計画書を作成する場合、特に介護保険系の計画書は本人の希望と家族の希望を聞いて作成する形式となっています。カンファレンスの際に、目標の設定と相手の希望との乖離が大きくなっていることがよく見られ、その際には医師より再度本人とご家族に説明をしていただいています。
リハビリで問診や面接の際にリハビリのスタッフには、「ニーズ」と「ホープ」の違いを明解にして話をすることをお願いしています。
「ニーズ」は必要性のことで、”医療側”の必要性のことです。また「ホープ」は”相手の希望”で、本人が希望している内容です。「ニーズ」と「ホープ」が一致している場合は問題ありませんが、ここが大きく乖離していることは多くみられると思います。もっと細かい話をすると「相手の希望」と「主訴」は異なります。主訴は患者さんが医師に訴える困っている主要なことです。
極端な例で「ニーズ」と「ホープ」の解離が大きい状態の説明を致します。コントロール不良の糖尿病患者がいるとします。相手の希望「ホープ」は 「おいしいものをたくさん食べて、楽に暮らしたい」と言ったとします。医療側の必要性「ニーズ」は 「食事はバランスの取れた内容で一日総カロリーを1600Kcalにします。また、一日の活動量として歩数を計測していただき8,000歩以上を目標とし測定内容の記録をします。体重は毎朝測定し、それも記録します。歩数と体重の記録は1か月間記録したものを提出します。記録と状態により再度評価し、次の1か月の計画を再作成することとします」 このような内容ですが、どのように感じますか。
内容をよく見てみると「ニーズ」と「ホープ」では大きな違いがありますよね。食べる内容や活動量で大きな差(解離)がみられると思います。私はこの差が悪いとは思っていません。この差が大きいということを把握することにより、相手に対する寄り添い方やこちらの考えを伝えて「ニーズ」に近づけることができるか、チームで作戦を立てることができます。本人だけにこちらの意見を押し付けても反発したり、「はい、わかりました」と返答するだけで行動には移さない可能性があります。本人の納得と周囲の協力者があって初めて計画は成功すると思っています。また、臨床の現場では本人の「ホープ」は”たてまえ”で話をしている可能性があり、オブラートにくるんだような内容を話すため、さらに難易度が上がると思われます。
アドヒアランスを高めてより良い計画と実行ができるといいですよね。
このようにじっくり考えると、介護保険関連のリハビリ計画書の「本人の希望」を反映することは本当に必要な項目なのですかね?その希望に答える内容にするべきなのでしょうかね?医療でもリハビリテーション総合計画評価料算定のための計画書の様式はありますが、介護保険系の計画書よりさらにひどい内容にげんなりです。
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