この仕事についていると、「異常歩行」や「正常歩行」という言葉をよく耳にします。私も使用したことがありますが何が異常で何が正常なのかいまいちはっきりしません。本や文献を見ていますが、未だによくわかりません。一見すると正常な歩行をしている人でも人にぶつかることが多い人や常に疲れた感じでゆっくりと歩く人。遠くからでも足音が聞こえるぐらいバタバタと歩く人。股関節の外旋が強くオラオラ系で歩く人。踵接地がほとんどなく足部前面接地で歩く人。この人たちは正常歩行なのでしょうか。日常生活上で不自由がなければ正常歩行なのかもしれません。ということは麻痺がある人や痛みのある人も生活で不自由なく、かつ友達と同じ速さで歩くことができれば正常歩行とみなしてもいいかもしれません。
InnmanのHUMAN WALKINGでは若者の普段歩いている速さで歩行しました。できるだけ身体がわかる服装で素足で測定しました。一定時間のストロボ写真でマーカーの軌跡を追った分析があります。一定時間で写真撮影するので、その軌跡は角度と時間を計測でき、角速度を算出することで様々な分析に応用できます。皆様がよく目にする股関節、膝関節、足関節の歩行周期における角度のグラフはご存じと思いますが、そのグラフをよく見ると様々なことが推測されます。また、歩行周期に合わせて筋放電加算平均のグラフと照らし合わせることにより歩行時の下肢の働きがさらにわかってくるような気がします。でも、でも、でも、実はよくわからないことや疑問がさらにわいてきます。
その前に基礎的な歩行分析について

1歩2歩と数える交互に振り出して接地し一歩の長さを歩幅と言います。その踵と踵の間の長さを歩隔(ほかく)と言います。踵の中央から第3足趾を引いた線と歩く方向の直線との角度を足角(そっかく)と言います。同側の踵が着いた長さを重複歩長(または重複歩行距離ともいう)です。歩幅と重複歩長は10m歩行で歩数を計測することにより算出することもできますが、実際の歩行で踵と床に水性ペンやチョークで書き込みをすることで歩隔、足角、歩幅、重複歩長を測量することができます。また、ケイデンスも算出できます。ケイデンスは自転車競技やマラソンなどで活用しています。
10m歩行の検査では10m歩行するまでの時間と歩数を計測します。距離と時間がわかりますので、歩行速度が算出されます。歩行速度の単位はm/秒となっています。1秒につき1m以上歩くことが必要と言われていますが、1を前後に非常に細かな数値になりますが、研究論文はこの単位を使用しています。治療目標を立てる際は1分あたりに直したほうが、患者さんや医療従事者にはわかりやすいと思います。ケイデンスとは回転数と呼ばれ単位はrpm(revolutions per minute)で表され、1分間当たりの回転数(歩数)となります。歩行率は1秒当たりの歩数で計算していますが、あまりにも数値が低くなり、分析が非常に難しい印象なので、できれば1分あたりの歩数にして、それに対する戦略を立てるほうがいいと思います。


歩行周期(日本語) | 歩行周期 | 略語 |
---|---|---|
着床初期 | initial contact | IC |
荷重応答期 | loading response | LR |
立脚中期 | midstance | MSt |
立脚終期 | terminal stance | TSt |
遊脚前期 | preswing | PSw |
遊脚初期 | initial swing | ISw |
遊脚中期 | midswing | MSw |
遊脚終期 | terminal swing | TSw |

衝撃的事実!遊脚期の足先の引っ掛かりは背屈ができないからではない!
まず、足関節の歩行周期での底背屈角度より、遊脚期では足関節底背屈0°と記載されているグラフが多く見受けられます。症例検討やブレースクリニックなどで、「遊脚期で足趾の引っ掛かりが見られるため、背屈**°に設定し短下肢装具を作成しようと思います」と話されることがあります。では正常歩行の遊脚期底屈0°はどのように説明すればいいのでしょうか?

そこで膝関節の歩行周期の角度を見てみると、遊脚期で60°以上屈曲しているのがわかります。クリアランスには蹴り出し後の膝の屈曲が必要だと考えられます。ただ、この膝の屈曲はハムストリングスが積極的に関わっているわけではないようです。どちらかというと蹴り出し後、大腿四頭筋やハムストリングスの力が抜け、股関節屈曲に伴い下腿が遅れて振り子のようについてくることで筋効率が良く長く歩行できるようになったのだと思います。また、股関節も屈曲が30度
足関節の角度を見てみると、遊脚期の背屈ははやい歩行で3度程度ありますが、通常歩行では0度に届くかどうかです。足関節が背屈に振れるのは立脚中期手前から最大は8度の蹴り出し(立脚後期)までです。ここの角度を0度に固定することで、異常歩行になると思われます。



さらに筋活動で考察します。歩行周期60%のところは立脚終期(STt:または踵離床)であり、足関節を見ると背屈20から底屈およそ20度に大きく変化します。底屈位に40度動くわけですから、立脚中期から立脚終期まで


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