スポンサーリンク

頭頂葉損傷と高次脳機能障害:空間認知、身体図式、視覚運動統合障害と歩行異常

頭頂葉とは?

位置

  • 前頭葉の後ろ
  • 後頭葉の前
  • 側頭葉の上

主な役割

体性感覚の統合

  • 一次体性感覚野(中心後回)
  • 触覚・痛覚・温度覚・深部感覚

空間認知

  • 自分と外界の位置関係の把握
  • 視空間処理

身体図式(Body schema)

  • 自分の身体の位置・大きさの認識

注意機能(特に右頭頂葉)

  • 空間的注意のコントロール

頭頂葉障害で起こる高次脳機能障害

半側空間無視(特に右頭頂葉)

特徴

  • 左側の刺激に気づかない
  • 左半分を食べ残す
  • 左側にぶつかる

機序

右頭頂葉は両側空間を担当
左頭頂葉は主に右空間のみ
→ 右損傷のほうが重症になりやすい

片麻痺歩行の安全管理にも直結するね。

失行(特に観念運動失行)

  • 道具の使い方がわからない
  • 指示動作ができない

頭頂葉は「運動のプログラム化」に関与
前頭葉とネットワークで動いているよ。

身体失認

  • 自分の麻痺を認めない(病態失認)
  • 自分の手を他人のものだと言う

右頭頂葉+側頭葉のネットワーク障害で出やすい

Gerstmann症候群(左頭頂葉)

4徴

  • 手指失認
  • 左右失認
  • 失算
  • 失書

優位半球(通常は左)下頭頂小葉の障害

構成障害

  • 図形模写ができない
  • 積み木が組めない

視空間統合の破綻。

臨床で重要な頭頂葉の部位

部位役割障害例
上頭頂小葉身体図式運動のぎこちなさ
下頭頂小葉空間認知半側空間無視
角回言語・計算失算
縁上回行為の統合失行

🩺 リハビリ視点でのポイント

✔ 空間無視 → 視覚探索訓練

✔ 身体失認 → ミラーセラピー

✔ 構成障害 → 模写・積木課題

✔ 失行 → 具体物操作+段階的指示

頭頂葉障害と歩行異常:頭頂葉は「空間と身体の統合センター」

重要な働き

  • 空間認知(Spatial awareness)
  • 身体図式(Body schema)
  • 視覚‐体性感覚統合
  • 注意配分(特に右頭頂葉)

つまり
「自分の身体がどこにあって、空間のどこを歩いているか」を作っている場所

頭頂葉損傷で歩行に何が起きる?

半側空間無視による歩行偏倚(特に右損傷)

特徴

  • 左側に気づかない
  • 廊下で左にぶつかる
  • 車椅子・歩行で片側寄り

歩行への影響

  • BOSの非対称
  • 重心偏倚
  • 安全性低下

筋力ではなく「注意の非対称」

身体図式の破綻 → 足の位置感覚異常

起こること

  • 足の位置を正確に把握できない
  • クリアランス低下
  • 接地タイミングの乱れ

深部感覚が保たれていても
統合障害で歩容が不安定になることがある。

視覚‐運動統合障害(dorsal stream障害)

頭頂葉は視覚の「Where pathway(背側経路)」の中枢。

症状

  • 段差への足の出し方がぎこちない
  • 方向転換が不安定
  • 環境変化で転倒しやすい

視覚情報を運動に変換できない。

失行による歩行のぎこちなさ

麻痺が軽いのに:

  • ステップの順序が乱れる
  • 始動困難
  • 道具(杖)の使い方が不適切

これは「運動プログラム化」の問題。

歩行周期でみるとどうなる?

みんなならここが気になる

フェーズ影響
IC接地位置のずれ
LR重心移動が非対称
MSt体幹偏倚
TSt推進方向の誤り
Swingクリアランス不足

モーメントや筋出力は正常でも“制御”が乱れる。

評価で見るべきポイント

✔ 線分二等分試験(空間無視)

✔ 模写課題(構成障害)

✔ 足位置再現テスト

✔ 障害物歩行

✔ 方向転換テスト

歩行だけでなく
空間課題と組み合わせて評価する

リハ戦略

半側空間無視

  • 視覚探索訓練
  • 左側刺激の強調
  • ライン誘導歩行

身体図式

  • ミラーセラピー
  • 体幹回旋誘導
  • 重心移動フィードバック

視覚運動統合

  • 段差練習
  • 環境変化練習
  • 視線誘導訓練

臨床で大事なポイント

「麻痺のせい」にしない

✔ 麻痺が軽いのに歩行が不安定
✔ 環境が変わると急に悪化
✔ 片側にぶつかる

→ 頭頂葉を疑う。

下頭頂小葉(角回 :angular gyrusと縁上回 :supramarginal gyrus)

下頭頂小葉(角回・縁上回)の位置

  • 縁上回:シルビウス裂の後方を取り囲む
  • 角回:そのさらに後方(側頭葉・後頭葉との接点)

どちらも「多感覚統合ハブ」です

角回(Angular Gyrus)に起因する高次脳機能障害

主に優位半球(多くは左)で問題になります

主な血管

  • MCA下枝
  • 角回枝(angular artery)
  • 一部で後大脳動脈(PCA)との境界域

Gerstmann症候群

代表的なのがこれです

4徴

  • 手指失認
  • 左右失認
  • 失算
  • 失書

抽象概念の統合障害と考えられています

失算(Acalculia)

桁の理解ができない

  • 繰り上がり処理が困難
  • 数の空間配置の理解低下

角回は「数の空間的マッピング」に関与

失書(Agraphia)

  • 漢字の構成が崩れる
  • 文法が破綻する

言語ネットワーク(ウェルニッケ野や前頭葉)との連携障害

読字障害(Alexia)

特に意味理解の低下を伴う場合あり

意味統合障害

角回は意味処理のハブ

  • 比喩理解困難
  • 抽象概念の理解低下

縁上回(Supramarginal Gyrus)に起因する高次脳機能障害

主な血管

  • MCA下枝
  • 後頭頂枝(posterior parietal artery)
  • 角回枝と重なることもある

 観念運動失行

  • ジェスチャーがぎこちない
  • 道具の使い方がわからない
  • 模倣困難

縁上回は「運動プログラムの統合」に関与

音韻処理障害

  • 復唱困難
  • 音の保持ができない

👉 音韻ループの中枢的役割。

身体図式障害

  • 自分の手足の位置がわかりにくい
  • 運動がぎこちない

特に右縁上回で目立つことがある

半側空間無視(右)

右下頭頂小葉(角回+縁上回)で起こりやすい

境界領域(Watershed)のポイント

角回はMCAとPCAの境界に近いことがある

低灌流状態(境界域梗塞)で高次機能だけが目立つこともある

血管と症候のまとめ

血管障害部位症候
MCA上枝前頭葉運動性失語
MCA下枝下頭頂小葉失行・Gerstmann
MCA広範下頭頂+側頭伝導失語
MCA-PCA境界角回読字・計算障害

ホームへ戻る

    このフォームはスパムを低減するために Akismet を使っています。 データの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

    コメント