病的反射は正常では認められない異常な神経反射です。
この反射の多くは錐体路障害で出現するため陽性となった場合の意義は重要で、診断や評価に利用されることがあります。ただ、単独で診断を行うものでなく、他の臨床的な検査と併用して判断します。これらの病的反射は神経系の諸具合や病変を早期に検出し、適切な治療や管理を行うための重要な手掛かりとなることがあります。
表記の仕方
反射が認められれば陽性となり、表記は「+」「-」で行います。
例えばbabinski Rt(+) Lt(-) と記載します。
バビンスキー反射
バビンスキー反射(徴候)(Babinski reflex(sign))は重要な反射で、足底の外側を踵から第3趾の付け根までこすり、第1趾の背屈(伸展)現象と第2~4趾の開扇現象が見られると陽性となります。陽性の場合は脳の障害を示唆します。正常な成人では足の裏を刺激すると足趾は屈曲します。
チャドック反射
チャドック反射(Chaddock reflex)はバビンスキー反射の変法の1つです。足の外踝の下を後ろから前こすり、第1趾が背屈(伸展)すると陽性となります。バビンスキー反射と同様に陽性の場合は神経系の異常を示唆します。
バビンスキーの変法
1.オッペンハイム反射
2.ゴルドン反射
3.シェファー反射
4.ゴンダ反射
ホフマン反射
第3指を検者の示指と母指で挟み、患者の中指の詰めを掌側に強くはじきます。その時第1指が内転がみられると陽性となります。脊髄や脳の異常を示唆することがあります。
トレムナー反射
手関節軽度背屈位で、第3指の先端を背側に強くはじきます。その時第1指が内転屈曲がみられると陽性となります。陽性の場合は神経系の異常がある可能性があります。
ワルテンベルグ反射
手掌を上側にして2~5指に検者の指を乗せて検者の指をハンマーでたたきます。第1指が内転屈曲がみられると陽性となります。神経系の問題が考えられます。
手掌オトガイ反射
手掌の中央から親指側にこすった時に、同側の下唇のオトガイ筋が収縮すれば陽性と判定する。前頭葉の障害で出現する可能性があるが、まれに健常者でも陽性となることがある。
眉間反射
全額面を軽くたたいて瞬目を誘発する。正常では最初の5回程度は瞬目が誘発されるが、それ以降に軽くたたいても反射は弱くなる。びまん性の脳機能障害がある場合では瞬目は持続される。
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