SARA(Scale for the assessment and rating of atasia)とは
SARAは小脳性運動失調(cerebellar ataxia)を客観的に評価する国際的なスケール。
歩行・立位保持・協調運動・発生など8項目・40点で構成されていて、失調症状の重症度や経過観察、治療効果の判定に使われます。臨床でも短時間で評価できるから、外来・入院ともに便利です。
SARA(Scale for the assessment and rating of atasia)の評価項目(合計40点)
一番当てはまる点数を付けます。
1~4の項目はそのままですが、5~8の項目は左右の点数をつけて左右の平均を点数とします。全部の合計点を算出します。
1 歩行(gait)0~8点
被検者に以下を依頼します。
①壁に沿って安全な距離を歩行し、方向転換(半回転)を行います。
②継ぎ足歩行tandem(かかとをつま先につけて歩行)を介助なしで行う。
0:歩行、方向転換、継ぎ足歩行tandemが困難なく、問題なくできる(継ぎ足歩行で1回程度のミスは許容)
1:継ぎ足歩行tandemで10歩連続時に軽度の障害がみられる
2:継ぎ足歩行tandemで10歩以上継続できない
3:方向転換に困難があるが、介助なしで可能
4:明らかなよろめきがあり、壁への一時的な支持が必要
5:著明なよろめき。杖1本または片腕に軽い支持があれば歩行可能
6:10m以上の歩行には重度の介助(2本の特別な杖、歩行器、介助者)が必要
7:10m未満の歩行でも重度の介助が必要
8:介助の有無にかかわらず歩行不能
2 立位(Stance)0~6点
被検者に靴を脱いで、開眼で、順に①自然な姿勢、②足を揃えて(親趾同士をつけ
る)、③継ぎ足(両足を一直線に、踵とつま先に間を空けないようにする)で立っていただきます。各肢位で3 回まで再施行可能で、最高点を記載します。
0:継ぎ足tandemで10秒以上立位保持できる
1:足を揃えた立位はほじできるが、継ぎ足tandemで10秒より長く立てない
2:足を揃えた立位で10 秒より長く立てるが動揺する
3:自然な肢位で10 秒より長く立てるが、足揃え立位はできない
4:自然な姿勢で10秒より長く立てるが、少しの介助が必要
5:自然な姿勢で10秒立つには常時の介助(片腕に対し)が必要
6:常時片腕に対し介助しても10秒立位保持はできない
3 座位(Sitting)0~4点
開眼し両上肢を前方に伸ばした姿勢で、足を浮かせてベッドに座ります。
0:問題なく10 秒より長く坐っていることが出来る
1:わずかなふらつきがある
2:常に動揺しているが、介助無しに10 秒より長く坐っていられる
3:時々介助するだけで10 秒より長く坐っていられる
4:ずっと支えなければ10 秒より長く坐っていることが出来ない
4 言語障害(Speech Disturbance)0~6点
通常の会話で構音障害の程度を評価します。
0:正常
1:わずかな言語障害が感じられる程度
2:軽度の言語障害があるが、容易に理解できる
3:単語レベルで聞き取りにくい言葉がある
4:多くの単語で理解困難である
5:かろうじて単語レベルの理解できる
6:ほぼ理解ができない 構音障害の状態
5 指追従試験(Finger Chase)0~4点 左右別評価
被検者は楽な姿勢で座っていただき、必要があれば足や体幹を支えても良いです。検者は被検者の前に座ります。検者は、被検者の指が届く距離の中間の位置に、自分の人差し指を示します。被検者に、自分の人差し指で、検者の人差し指の動きに、できるだけ早く正確についていくように指示します。検者は被検者の予測できない方向に、2 秒かけて、約30cm、人差し指を動かします。これを5 回繰り返します。被検者の人差し指が、正確に検者の人差し指を示すかを判定します。5 回のうち最後の3 回の平均を評価します。
0:正確(dysmetriaなし)
1:目標からの距離 <5cmのズレ
2:目標からの距離 <15cmのズレ
3:目標からの距離 >15cmのズレ
4:5回の追従試験ができない
原疾患以外の理由により検査自体ができない場合は5とし、平均値、総得点に反映させない。
鼻指鼻試験(Nose-Finger Test)0~4点 左右別評価
被検者は自分の鼻→検者の指を繰り返し指差しします。振戦の振幅に基づき評価します。
0:振戦なし
1:振幅 <2cm
2:振幅 <5cm
3:振幅 >5cm
4:反復動作が不可能
回内回外運動(Fast Alternating Hand Movements)0~4点 左右別評価
検者が10回の回内回外運動(7秒以内)をデモンストレーションします。被検者にも同条件で実施していただき、所要時間と協調性を評価します。
0:正確・10秒未満・不規則性なし
1:軽度の不規則あり(10秒未満)
2:不規則・動作判別困難・10秒未満
3:高度な不規則・10秒以上
4:10回の運動ができない
踵膝試験(Heel-Shin Slide)0~4点 左右別評価
被検者は検査台で仰臥位になります。視覚を遮断してから、反対膝に踵を合わせ、脛(すね)に沿って1秒以内に下方にすべらせます。これを3回繰り返します。
0:正常
1:わずかなズレはあるが接触維持できる
2:3回中1~3回 接触が外れる
3:3回中4回以上 接触が外れる
4:動作不可

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