神経学的検査における感覚検査は大まかに、表在感覚、深部感覚、複合感覚に分類されます。
感覚の経路は、後索-内側毛帯は識別性触覚、位置覚、振動覚が伝導します。脊髄視床路は非識別性触覚、温度覚、痛覚が伝導します。感覚障害をきたす病態により皮膚領域で特徴のある分布を示すため、さらなる病態の分析が可能となります。
表在感覚
触覚(tactile sensation)
脱脂綿、ティッシュペーパーなどディスポーザブルなものを、先端を細く整えてから用いるようにします。
筆は感染予防の観点から行わないほうが良いです。
患者さんに患者さんに検査用具を見せて四肢・躯幹の触覚を検査することを説明する
肢位は仰臥位(背臥位)のほうが良い
できるだけ軽く触れる。なでるときは皮膚分節に沿って、四肢では長軸と平行に、胸部では肋骨に平行に同じ長さでこするようにする。
検査の順番は上肢、躯幹、下肢の順番がよい
左右差、上肢と下肢の差、近位と遠位の差に注意して異常部位の分布を把握する
患者さんに閉眼させ、刺激を見せないようにし、タイミングをずらし一定でない刺激に対しての返答であれば、精度が高い結果が得られる
障害部位は皮膚分節、あるいは末梢神経支配のヒトの絵に記入すると分かりやすい

触覚鈍麻 | tactile hypesthesia |
触覚消失 | tactile anesthesia |
触覚過敏 | tactile hyperesthesia |
痛覚(sense of pain)
爪楊枝(つまようじ)は使い捨てができるので、痛覚を検査するときには爪楊枝を使用します。
針やルーレットは感染予防の面から使用しません。
患者さんに患者さんに検査用具を見せて四肢・躯幹の触覚を検査することを説明します。
検査肢位は仰臥位(背臥位)のほうが良いです。
痛覚検査であるが、「チクチクする」程度の強さで行います。
頭から足へ、大まかに行い、左右、上下を比較します。
障害部位は皮膚分節、あるいは末梢神経支配分布に一致するかを念頭に細かく調べます。

一般に知覚鈍麻では障害部から正常な部分に向かって検査し、知覚過敏では正常部より障害部に向かって検査していくと、境界が決めやすいと言われています。

痛覚鈍麻 | hypalgesia |
痛覚消失 | analgesia |
痛覚過敏 | hyperalgesia |
温度覚 (sense of temperature)
リハビリの実際の現場ではほとんど行われていないのが実際でしょう。温痛覚と言われるように同じ神経連絡路であるため、痛覚で予測することが多いためだと思われます。また準備に時間がかかることと、時間がたつと温覚のお湯が冷めてしまうことも手間になっている一つだと思われます。温度覚検査の機器が販売されていますが保有している病院は少ないと思います。ただ、臨床の場面では、お風呂に入ると冷たく感じる部分があるとか、逆に熱いような痛みを感じるなど異常感覚を訴えることがあります。そのため、温度覚についても注意は必要だと思います。ここでは測り方を提示します。
検査にはガラス試験管で行い、試験管表面が濡れていないようにします。お湯は50~60℃で、冷水は10℃くらいとされています。
検査の器具を見せながら説明をして検査を開始します。皮膚に温度が伝わるまで3秒ほど待って「暖かく感じますか?それとも冷たく感じますか?」と聞き、返答していただきます。必ず左右対称の部位で検査し比較します。

温度覚鈍麻 | thermohypesthesia |
温度覚消失 | thermoanesthesia |
温度覚過敏 | thermohypersthesia |
深部感覚 (deep sensation)
振動覚 (vibration sense)
音叉(C128)の振動で骨突出部で測定します。鎖骨、肘頭、尺骨遠位端、膝蓋骨、外果を検査部位とし一側の部位に音叉を当て、振動が止まったら「止まった」と返答していただきます。振動がなくなるまでの時間を測定し、また左右の差を聞き取り記載します。また、振動がなくなったと言われてから、自分の骨突出部に当て、振動が続いているか確認することが必要です。

振動覚鈍麻 | hypopallesthesia |
振動覚消失 | apallesthesia |
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位置覚 (sense of position)
方法①
臥位で片足を介助で持ち上げ、その状態を反対の足で同じように(同じ格好)する。
方法②
臥位で片足を介助で持ち上げ、その足の親指の位置を反対側の上肢で示す。
方法③
手の人差し指を横から挟み上に持ち上げたか、下におろしたかを5回行い正答を記載します。左右で行い、足部の親指でも行います。
複合感覚 (comtined sensation)
2点識別覚 (twe-point discrmination)
先のあまりとがっていないノギスで2点を刺激します。掌で30mmで当てて、2点で感じるときは2、1点で感じるときは1と答えていただきます。その後閉眼していただき、徐々に5mmほど変化させながら検査を進めます。2から1の回答が出た付近で1~2mm変化させ、より精度をあげます。手掌の標準は15~20mmと言われています。ただ、この検査は時間がかかり、被検者の負担も大きいため検査の方法や実施時の体調にも注意する。
皮膚書字覚 (graphesthesia)
手掌部で0~9までの数字を書き、数字を答えていただく。はじめは開眼で行い、その後閉眼で5回行い正答数を記載します。左右行います。後索の障害がある場合誤答が多くなります。
立体認知 (stereognosis)
物体認知ともいわれています。閉眼した中で日常よく使用する物品が何かを当てていただきます。ペン、鍵、硬貨がよく使用されます。頭頂葉、後索に障害があると誤答が多くなります。
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