レカネマブ治療は、アルツハイマー病の早期段階であるMCIまたは軽度認知症の患者を対象としています。診断ではMMSEやMoCA―Jなどの認知機能検査に加え、CDRによる重症度評価(必須)が行われます。その後、アミロイドPETまたは髄液検査により脳内アミロイドβの蓄積を確認し、MRIによる安全性評価を行った上で治療開始が検討されます。
レカネマブ(商品名:レケンビ)の診断フローは、2024〜2026年頃の実臨床ではほぼ決まった流れになってきています。臨床現場の流れで整理して説明します。
レカネマブ診断フロー(2026年版)
治療対象はEarly Alzheimer’s disease(早期アルツハイマー病)
つまり
- MCI due to AD
- 軽度アルツハイマー型認知症
の段階です。
STEP1:認知機能低下の確認
まず認知症スクリーニングを行います。
主に使われる検査
- MMSE
- MoCA
- HDS-R
MCIや軽度認知症が疑われる患者を抽出します。問診などで、このSTEP1の検査をとばして、STEP2のCDR検査から始まることがあります。
STEP2:重症度評価
レカメマブ治療の判定には、CDR(Clinical Dementia Rating) が必須です。
| CDR | 状態 |
| 0 | 正常 |
| 0.5 | MCI |
| 1 | 軽度認知症 |
| 2 | 中等度 |
| 3 | 重度 |
レカネマブ治療の対象となるのは、 CDR 0.5〜1点の方となります。
STEP3:アルツハイマー病病理の証明
レカメマブ治療開始にはアミロイドβ蓄積の証明が必要です。
蓄積の証明方法は2つです。
アミロイドPET
脳内アミロイド沈着を画像により直接確認します。
髄液検査
CSF検査
- Aβ42低下
- p-tau上昇
STEP4:MRI評価(安全性確認)
治療前MRIは必須です。
確認する項目
- 微小出血(microbleeds)
- 表在性ヘモジデリン沈着
- 脳出血
- 脳梗塞
ARIAリスク評価を行います。
STEP5:遺伝子検査(任意)
APOE ε4
ARIAリスク評価のため。
| 遺伝型 | ARIAリスク |
| ε4/ε4 | 高 |
| ε4/非保有 | 中 |
| 非保有 | 低 |
STEP6:レカネマブ治療開始
投与方法
2週間ごとの点滴を行います
STEP7:治療中モニタリング
ARIA監視のためMRIを実施します。
一般的なスケジュール
- 投与前
- 5回目
- 7回目
- 14回目
最近の変化(2025〜2026)
新しい流れとして血液バイオマーカーが使われ始めています。
代表
- p-tau217
- Aβ42/40
これにより
血液検査
↓
PET
というスクリーニングが可能になりつつあります。今現在では(R8.4月)では血液検査が必須項目には入っていません。
診断フローまとめ
認知機能低下
↓
MMSE / MoCA
↓
CDR評価
↓
アミロイド確認
(PET または 髄液)
↓
MRI安全評価
↓
レカネマブ投与
↓
MRIモニタリング
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