近年、アルツハイマー病の診断ではATN分類という概念が提唱されています。ATNとは、アミロイド(A)、タウ(T)、神経変性(N)の3つの病理をバイオマーカーで評価する考え方です。これにより、症状が出る前の段階からアルツハイマー病の病理を評価することが可能となっています。
ATN分類とは
ATN分類(ATN framework)は、アルツハイマー病を
- 症状
- 画像
- バイオマーカー
から分類する方法です。
2018年にNational Institute on AgingとAlzheimer’s Association が提唱しました。従来の「症状中心の診断」から、病理中心の診断へ変える考え方です。
ATNの意味
| 項目 | 意味 | 何を示すか |
| A | Amyloid | アミロイドβ沈着 |
| T | Tau | タウ病理 |
| N | Neurodegeneration | 神経変性 |
つまりADの3つの病理を示しています。
各マーカーと検査
A(Amyloid)
アミロイドβ蓄積を示します。
検査
- アミロイドPET
- CSF Aβ42
- 血液 Aβ42/40
T(Tau)
タウ病理を示します。
検査
- タウPET
- CSF p-tau
- 血液 p-tau217
N(Neurodegeneration)
神経細胞の変性。
検査
- MRI(海馬萎縮)
- FDG-PET
- CSF total tau
- 血液 NfL
ATNの組み合わせ
患者はA / T / N の陽性・陰性で分類されます。
例
| パターン | 意味 |
| A+T+N+ | 典型的AD |
| A+T+N- | 早期AD |
| A-T+N+ | 非ADタウ病理 |
| A-T-N+ | 神経変性のみ |
病態の時間軸
アルツハイマー病は次の順序で進むと考えられています。
A(アミロイド)
↓
T(タウ)
↓
N(神経変性)
↓
症状
つまり症状が出る前から病理が進行しているとされています。
レカネマブとの関係
レカネマブはA(アミロイド)に作用する薬です。だから治療対象はA+の患者。つまり A+T- または A+T+ の段階。
血液検査との関係
血液マーカーをATNに当てはめると
| ATN | 血液検査 |
| A | Aβ42/40 |
| T | p-tau217 |
| N | NfL |
将来は 血液ATN診断 が可能になると言われています。
臨床での実際の使い方
実臨床では
認知機能検査
↓
CDR評価
↓
A(アミロイド確認)
↓
MRI
という流です。
ATNは 研究・高度医療の診断モデル として使われています。
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