「Functional Reach Test(FRT)の測定方法と治療戦略」について解説します。Functional Reach Test(FRT)の測定と治療戦略を立てること、またカットオフに関する知識は、リハビリテーションを行う理学療法士にとって重要です。この記事では、FRTの正しい測定方法やカットオフ値に加え、注意すべきポイントなどを詳しく解説します。FRTを活用した効果的な治療戦略についても触れていきますので、ぜひ最後までお読みいただきたいと思います。
ファンクショナルリーチテストはリハビリの場面だけでなく介護現場でも簡易的な評価ツールとして使用されています。
ファンクショナルリーチテストと筋力テストを組み合わせて、治療戦略を立てることができます。
前傾し上肢を挙上する姿勢になるため、バランスを均衡するため、重心は後方に移行する必要があります。
股関節屈曲が見られるため、それを支えるための筋力が必要になります。主な筋は大殿筋、ハムストリングスで上肢及び頭部・体幹部を支えます。
また、下腿三頭筋、ヒラメ筋、足底筋群、足趾屈筋群で重心を前方に移行するときに踏ん張ります。
前傾が不十分でバランスが悪い場合は脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングスの筋力強化と前傾バランス練習を組み合わせて行います。
重心が後方に推移し前方に移行できない場合は、下腿三頭筋、ヒラメ筋、足底筋群、足趾屈筋群を強化し前方重心移動に耐えることができるように、バランス練習を組み合わせて行います。
また、肩関節挙上と肩甲帯の外転と上方回旋、挙上を改善することで数値が向上します。
FTRの数値の改善だけにとらわれすぎないようにしましょう。身体のバランスを測る指標の一つで、これだけで日常生活上の身体バランスの問題が解決するわけではないからです。
FRTの測定方法
- 両足を軽く開いた立位姿勢を開始時のポジションです
- 片方の腕を前方へ90度挙上します
- できるだけ手を前方に伸ばします
- 挙上した手のリーチ距離を測定します
※ 測定する前に実演をして、内容の理解をしていただきます。
※ 上部体幹及び肩甲帯の回旋を生じないよう、検査前に説明をします。
※ 開始時の方の高さを保ってのリーチとなるため、肩関節が屈曲制限がある場合は結果が少なく測定されることがあります。
※ 円背の方は結果が少なく測定されることがあります。
※ 姿勢障害、失調、感覚障害、筋力低下、痛みがある場合は、測定時バランスを崩す可能性があるため安全に留意して測定を行います。
FRTのカットオフ値
18cm以下が転倒の可能性が高まるカットオフ値とされています。
FRTの注意点
整形外科的に痛みが生じる状態。
腰痛、股関節痛、膝関節痛、足関節足部痛、頸部痛、肩関節痛など痛みを生じる整形外科疾患がある場合は注意が必要です。検査中に強い痛みが生じた場合、その場で力が抜けたように急速に崩れることがあります。痛みの訴えがある人にはすぐ介助できるようにします。無理しないことも大事な選択肢です。
円背が強度の方。
初めから腰部が屈曲位なので検査の数値自体が少なく出ることと、数値のばらつきが多くなります。円背の方は測定が難しいためFRTの適応ではないようです。
失調症状がある方
体幹部だけでなく、下肢の失調がある方はFRTを実施する場合は介助できる状態で実施します。転倒の可能性が高いので注意してください。
感覚障害やしびれが強い方
脊髄性障害、脳性障害、糖尿病、閉塞性動脈硬化症などで感覚障害やしびれがある人は転倒の危険性があるため介助できるよう準備します。ただ、視覚性の立ち直り反応があるためか、比較的踏ん張れる人が多い印象です。
測定する際に壁があれば簡便に測定できる器具です。一度試してみてはどうですか。定価2436円です。
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