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バランス評価・検査一覧|リハビリで用いる代表的な評価方法を解説

バランス

 リハビリテーションでは、立位や歩行の安全性、転倒リスク、日常生活動作の遂行能力などを把握するために、バランス能力の評価が行われます。

 バランスは、単に「ふらつかずに立てる能力」ではありません。姿勢を保ちながら、身体の重心を支持基底面の中に維持したり、動作に合わせて重心を移動させたり、バランスを崩したときに姿勢を立て直したりする能力を含みます。

 そのため、バランス能力には次のような要素が関係します。

  • 筋力
  • 関節可動域
  • 感覚機能
  • 視覚・前庭機能
  • 筋の協調性
  • 姿勢制御
  • 予測的姿勢調節
  • 反応的姿勢制御
  • 注意・認知機能
  • 疼痛や疲労
  • 使用している靴や補助具
  • 周囲の環境

 バランス検査の得点や所要時間だけでは、バランス低下の原因まですべて明らかになるわけではありません。

 検査中にみられる姿勢、動作の順序、重心移動、支持基底面、代償動作、ふらつきの方向、介助の必要性なども観察し、筋力・感覚・関節可動域・認知機能などの評価結果と合わせて分析することが大切です。

 このページでは、リハビリテーションの臨床で用いられる代表的なバランス検査について、検査の特徴と評価できる内容を整理して紹介します。

バランス検査の分類

 バランス検査は、検査によって求められる姿勢や動作が異なります。

 例えば、片脚立位検査では狭い支持基底面で姿勢を保持する能力を確認します。一方、Functional Reach Testでは支持基底面を変えずに、身体の重心を前方へ移動できる範囲を測定します。

 Timed Up and Go Testでは、立ち上がり、歩行、方向転換、着座を含む一連の動作を評価します。Berg Balance Scaleでは、座位、立位、移乗、リーチ、方向転換、段差動作など、複数の課題を用いてバランス能力を総合的に評価します。

 このように、ひとつの検査だけでバランス能力のすべてを評価することは困難です。対象者の疾患、移動能力、生活上の問題、評価の目的に応じて検査を選択し、必要に応じて複数の検査を組み合わせます。

分類主な検査
静的バランス片脚立位検査、Romberg試験、Mann肢位
安定性限界Functional Reach Test(FRT)
基本動作を含む動的バランスTimed Up and Go Test(TUG)
複数課題による総合的バランス評価Berg Balance Scale(BBS)
バランスを含む総合的な身体機能評価Short Physical Performance Battery(SPPB)
姿勢制御システムの分析BESTest、Mini-BESTest
感覚条件の影響CTSIB、mCTSIB
歩行中のバランスFunctional Gait Assessment(FGA)、Dynamic Gait Index(DGI)

静的バランスを評価する検査

 静的バランスとは、一定の姿勢を保ちながら、身体の重心を支持基底面の中に維持する能力です。

 片脚立位検査やRomberg試験、Mann肢位などを用いて、姿勢を保持できる時間や身体の揺れ、感覚条件による変化などを確認します。検査結果だけでなく、姿勢の崩れ方や立ち直り方も観察することが大切です。

安定性限界を評価する検査

 安定性限界とは、支持基底面を変えずに、バランスを崩さず身体の重心を移動できる範囲です。

 Functional Reach Test(FRT)では、立位で前方へ手を伸ばした距離を測定します。到達距離だけでなく、足部の浮きや体幹の回旋、股関節・足関節の使い方、ふらつきなども観察することで、姿勢制御の特徴を分析できます。

基本動作を含む動的バランスを評価する検査

 動的バランスとは、身体を動かしながら姿勢を保ち、動作に合わせて重心を適切に移動させる能力です。

 Timed Up and Go Test(TUG)では、椅子からの立ち上がり、3mの歩行、方向転換、着座までの所要時間を測定します。時間だけでなく、立ち上がり方、歩行の安定性、方向転換時のふらつき、着座時の姿勢制御なども観察することで、移動能力や転倒リスクの分析につなげられます。

複数の課題からバランス能力を総合的に評価する検査

 Berg Balance Scale(BBS)は、立ち上がり、立位保持、移乗、方向転換、片脚立位など、日常生活に関連する14項目の課題からバランス能力を総合的に評価する検査です。

 合計点だけでなく、どの課題で姿勢が不安定になるか、動作に時間を要するか、見守りや介助が必要かを確認することで、対象者のバランス障害の特徴や動作上の問題を分析できます。

バランスを含む下肢機能を総合的に評価する検査

 Short Physical Performance Battery(SPPB)は、立位バランス、歩行速度、5回椅子立ち上がりの3つの課題から、下肢の身体機能を総合的に評価する検査です。

 合計点だけでなく、バランス保持、移動能力、下肢筋力など、どの課題に問題があるかを確認することで、対象者の身体機能の特徴や生活機能低下の可能性を検討できます。

姿勢制御システムを分析する検査

 Balance Evaluation Systems Test(BESTest)は、バランス能力を支える姿勢制御システムを多面的に評価する検査です。

 生体力学的制約、安定性限界、予測的姿勢調節、反応的姿勢応答、感覚機能、歩行の安定性という6つの領域から評価します。どの姿勢制御システムに問題があるかを整理し、バランス障害の原因分析や介入方法の検討につなげられます。

感覚条件がバランスに与える影響を評価する検査

 Clinical Test of Sensory Interaction and Balance(CTSIB)は、視覚・体性感覚・前庭感覚が姿勢制御に与える影響を評価する検査です。

 開眼・閉眼や支持面などの条件を変えて立位を保持し、どの感覚情報を利用してバランスを保っているかを確認します。条件による姿勢の揺れや保持時間の変化を観察することで、感覚情報の選択や統合に関する問題の分析につなげられます。

歩行中のバランス能力を評価する検査

 歩行中のバランス評価では、歩行速度の変化、方向転換、頭部の運動、障害物の回避、狭い支持基底面での歩行など、さまざまな条件に対応しながら安定して歩けるかを確認します。

 Functional Gait Assessment(FGA)やDynamic Gait Index(DGI)などを用いて、通常の歩行観察だけでは把握しにくい動的バランス能力を評価し、転倒リスクや地域生活における移動上の問題の分析につなげます。

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