褥創の定義は「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流低下、あるいは停止させる。この状態が一定時間持続されると組織は不可逆性障害に陥り、褥創となる。」としています。褥創について以下で解説します。
褥創の発生機序
褥創は、体の一部が長時間にわたって圧迫されることによって生じます。この圧迫が血流を妨げ、組織が酸素や栄養素を受け取ることができなくなると、細胞が死に、結果的に皮膚やその下の組織が損傷します。特に骨が突出する部分の皮膚が圧迫されやすく、褥創好発部位があります。長期間ベッドに横たわっている人や車いすに長時間座っている人に多く見られます。
皮膚の構造と褥創
皮膚は、表皮、真皮、そして皮下組織の3つの層から成り立っています。表皮は外部の刺激から保護するバリアの役割を果たし、真皮は血管や神経、毛穴が存在し、皮下組織には脂肪が含まれています。褥創はこれらの層が圧迫によって傷つくことで起こります。
褥創の評価
褥創の評価は、主にその深さによって行われます。ステージ1からステージ4まであり、ステージ1は皮膚の赤みが消えない状態を示し、ステージ4は筋肉や骨が露出している状態まで進行しています。この評価を行うことで、適切な治療方法を決定することが可能です。
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創傷治癒過程
①出血・凝固期
傷が発生すると出血・凝固期という急性反応を呈します。出血がある場合は出血を止めることが重要な初期段階です。血小板により止血され、さらに炎症期の軸になる好中球やマクロファージといった白血球の郵送を引き起こす炎症性サイトカインや増殖因子が放出されます。
②炎症期
炎症期で主体を成す白血球は、壊死組織や細菌を貪食し、創面を浄化します。治癒が進行しない状態の褥創はこの炎症期が長引いている可能性があり注意が必要です。
③増殖期
炎症が治まると、線維芽細胞や血管内皮細胞が主体となり、コラーゲンなどによる細胞外マトリックスが合成され、また血管新生が起こることで肉芽組織の上に周囲の健常皮膚と表皮角化細胞が郵送する小尾tで上皮化し創閉鎖となります。
④成熟期
閉鎖した褥創は当初、弱い状態ですが、数か月から数年かけて徐々に瘢痕組織に置き換わり、外力に耐性がある組織となり、治癒となります。
褥創の治療
褥創の治療は、その原因となる圧迫を取り除くことが最優先です。定期的に体位を変えることや、圧迫を軽減する特別なマットレスを使用することが推奨されます。また、損傷した皮膚のケアには清潔保持、適切な湿潤環境の維持、感染予防が重要です。重度の褥創には、手術による修復が必要な場合もあります。
ステージ1
目的:皮膚への圧力を減らし、損傷の進行を防ぎます。
治療:圧迫を受けている部位の頻繁な体位変換、圧力分散用のクッションやマットレスの使用、十分な栄養と水分の確保を行います。
注意点:皮膚の赤みが続く場合は医師あるいは皮膚科専門医の診察を受けてください。
ステージ2
目的:既に損傷した皮膚組織の治療と感染の予防を図ります。
治療:清潔な環境を保ち、傷を適切に保護します。湿潤療法(wet dressing)が推奨され、適切なドレッシング材を使用して傷口を保湿します。
注意点:感染の兆候に注意し、必要に応じて抗生物質の使用を検討します。
ステージ3
目的:深部組織の修復支援と感染拡大の防止を行います。
治療:ドレッシング材を使用し傷口を清潔に保ち、必要に応じで死んだ組織を除去するデブリードマンを行います。栄養状態の向上を図り、必要な場合は外科的介入も検討します。
注意点:感染の管理と痛みのコントロールが必要です。創部の除圧を行うこととほかの部分の褥創発生を防ぐ目的で体位交換を行います。
ステージ4
目的:広範囲に及ぶ組織損相の修復と機能の回復を目指します
治療:外科的処置による重度の組織損傷の修復、長期的な創傷管理プランの立案を行います。感染の厳格なコントロールと栄養状態の最適化を行います。
注意点:高度な医療ケアと定期的な評価が必要です。
褥創治療はステージごとで決めるのではなく、一人一人の状態によって内容が決定されます。医師、看護師、ケアスタッフ、リハビリ、ご家族等連携を取り、役目を果たしながら治療による効果を出せるように取り組みます。
栄養補助食品の紹介
褥創の治療と予防に役立つ栄養補助食品やドリンクにはタンパク質、ビタミンC、亜鉛、コラーゲンペプチドなどが含まれる製品が有効です。これらの栄養素は皮膚の修復と新しい組織の形成wお助けるため十分な摂取が推奨されます。
タンパク質は筋肉や皮膚の修復に不可欠であり、ビタミンCはコラーゲンの合成に関与しています。亜鉛は細胞の増殖に重要な役割を果たします。これらの栄養素を補うために、高タンパク質の補助食品やドリンクがありますので、積極的な利用を考えるとよいでしょう。
代表的な3商品の紹介です。どの商品も特徴があり、状態に合わせて選択してみましょう
明治メイバランスArgMiniカップ
総合栄養食としてとても有名ですが、ArgMiniカップは「ベッドなどで同じ姿勢でいる方にお勧め」となっています。亜鉛の量はほかの会社と比較しても圧倒的に多く、他の栄養素も多く配合されています。また遊離アルギニンも2500mg配合されていて、お勧めです。
エンジョイクリミール(森永乳業クリニコ)
バランスよく栄養補給ができます。
ブイクレスCP10(ニュートリー)
不足しがちなビタミン12種類と、鉄、亜鉛、セレンなどのミネラルを独自の比率で配合されています。コラーゲンペプチド10,000mg配合しています。コラーゲンペプチドとはコラーゲンを細かく分解したもので水に溶けやすく食品として取り入れやすくなっています。また、コエンザイムQ10を15mg配合されています。非常に優れた栄養補助食品です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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