はじめに
脳卒中は急激に発生する脳血管障害であり、適切な治療が遅れると重篤な後遺症を残すことがあります。早期診断と治療がカギとなる脳卒中において、その重症度を迅速かつ正確に評価するためのツールとしてNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)が広く用いられます。
NIHSSとは?
NIHSSはアメリカ国立衛生研究所によって開発された脳卒中の重症度スケールです。11の項目からなる評価により総合的な重症度を判定します。
NIHSSの評価項目
NIHSSの11の項目です。
1. 意識レベル
- 意識水準
- 質問の回答
- 指示の遂行
2. 眼球運動
3. 視野
4. 顔面麻痺
5. 上肢の運動(両側)
6. 下肢の運動(両側)
7. 運動失調
8. 感覚
9. 言語(失語の程度)
10. 構音障害
11. 無視について
NIHSSの評価表
NIHSSの評価内容と点数配分です。
項目 | 評価 |
1a. 意識水準 | 0 :完全に覚醒 1 :簡単な刺激で覚醒 2 :繰り返し刺激・強い刺激で覚醒 3 :完全に無反応 |
1b. 意識障害‐質問 今月の月名および年齢 | 0 :両方正解 1 :片方だけ正解 2 :両方不正解 |
1c. 意識障害-従命 開閉眼、手を握る開く | 0 :両方可能 1 :片方だけ可能 2 :両方不可能 |
2. 最良の注視 | 0 :正常 1 :部分的注視麻痺 2 :完全注視麻痺 |
3. 視野 | 0 :視野欠損なし 1 :部分的半盲 2 :完全半盲 3 :両側性半盲(皮質盲) |
4. 顔面麻痺 | 0 :なし 1 :軽度の麻痺 2 :部分的麻痺 3 :完全麻痺 |
5. 上肢の運動 左右それぞれについて評価 | 0 :90度(仰臥位では45度)挙上を10秒間保持可能(下垂なし) 1 :90度(仰臥位では45度)を挙上保持できるが、10秒以内に下垂 2 :90度(仰臥位では45度)の挙上または保持ができない 3 :重力に抗して動かない 4 :全く動きが見られない N :切断、関節癒合 |
6. 下肢の運動 左右それぞれについて評価 | 0 :30度挙上を5秒間保持可能(下垂なし) 1 :30度を挙上保持できるが、5秒以内に下垂 2 :重力に抗した動きがみられる 3 :重力に抗して動かない 4 :全く動きが見られない N :切断、関節癒合 |
7. 運動失調 | 0 :なし 1 :1肢に存在 2 :2肢に存在 N :切断、関節癒合 |
8. 感覚 | 0 :障害なし 1 :軽度から中等度 2 :重度から完全脱失 |
9. 最良の言語 | 0 :失語なし 1 :軽度から中等度の失語 2 :重度の失語 3 :無言、全失語 |
10. 構音障害 | 0 :なし 1 :軽度から中等度 2 :重度 N :挿管または身体的障壁 |
11. 消去現象と無視 | 0 :異常なし 1 :視覚、触覚、聴覚、視空間、または自己身体に対する不注意、あるいは1つの感覚様式で2点同時刺激に対する消去現象 2 :重度の半側不注意あるいは2つ以上の感覚様式に対する半側不注意 |
NIHSSのスコアと重症度
NIHSSの重症度分類のカットオフ値です。
- 0点 : 正常
- 1~4点 : 軽度の脳卒中
- 5~15点 : 中等度の脳卒中
- 16~20点 : 中等度から重度の脳卒中
- 21点以上 : 重度の脳卒中
各項目は0点から2~4点で評価されるが、神経学的に正常であれば点数は0点となり、重症度が高まるにつれて点数が大きくなります。点数の最大値を合計すると42点となりますが、最重症度で昏睡の場合は運動失調が0点となるため、実際は40点が最高点となります。
病期とNIHSSの点数により回復度合いを推測する方法も目にすることがあります。脳画像による回復度合いや症状の推測方法が主流ですが、症状からの回復推測も重要だと考えています。
評価における注意点
各評価項目については重みづけがされていないため神経症状の軽微な変化をとらえることは難しいと思われます。
脳神経に関する評価項目が不十分なため、脳幹病変の場合は注意が必要です。
失語症があると、点数が大きくなるため、左大脳半球の病変の場合は点数が大きくなる傾向があります。
リストの順番で評価します。患者が間違った部分を修正した場合でも評価を修正しないようにしてください。それぞれの評価を終えるごとに評価記録をします。
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