身体計測は、身長や体重、四肢の長さ・周径などを測定し、体格や身体の変化を把握する評価です。
リハビリテーションでは、栄養状態や筋萎縮、浮腫、左右差などを検討するための情報になります。数値だけで判断せず、筋力・動作・食事摂取量などと合わせて評価することが大切です。
身体計測で確認する項目
| 項目 | 確認する内容 | リハビリでの活用 |
|---|---|---|
| 身長 | 体の高さ | BMIの算出、体格の把握 |
| 体重 | 体の重さと経時的な変化 | 栄養状態や体水分の変化を検討 |
| BMI | 身長に対する体重の割合 | 成人の体格を把握する指標 |
| 四肢長 | 上肢・下肢の長さ | 左右差や脚長差を検討 |
| 四肢周径 | 上腕・大腿・下腿などの太さ | 筋萎縮、浮腫、腫脹の変化を検討 |
| 体組成 | 筋肉量・体脂肪量・体水分量など | 体重やBMIだけでは捉えにくい体の構成を把握 |
身長の測定方法
身長は、立位での床面から頭頂までの垂直距離を測定します。
立位で測定する場合
| 手順 | 方法・確認ポイント |
|---|---|
| ① 測定の準備 | 靴を脱ぎ、身長計に立つ |
| ② 姿勢を整える | 足をそろえ、可能な範囲で体をまっすぐにする |
| ③ 体の位置を確認する | 踵・臀部・背部を尺柱に近づける。変形や疼痛がある場合は無理に接触させない |
| ④ 頭の位置を整える | 眼窩下縁と外耳道上縁を結ぶ線が、ほぼ水平になるようにする |
| ⑤ 測定する | 頭頂に測定板を軽く当て、値を読み取る |
記録する桁数は、使用する機器や施設の基準に合わせます。
立位で測定できない場合
円背・拘縮・疼痛などがある場合は、通常の身長測定が難しくなります。
| 方法 | 注意点 |
|---|---|
| 臥位での身長測定 | 体を伸ばせる範囲で行い、拘縮や変形の影響を記録する |
| 体の各部分の長さから推定する | 合算値は実測身長と一致するとは限らない |
| 指極長・膝高などから推定する | 対象者に適した推定式を使用する。指極長をそのまま身長と扱わない |
| 過去の記録を参照する | 測定時期と、現在の体格・姿勢の変化を確認する |
推定した身長は「推定値」と明記し、使用した方法も記録します。 推定身長を使って算出したBMIにも、その誤差が影響します。
体重の測定方法
体重は、対象者の立位能力や移乗能力に応じた機器で測定します。
| 対象者の状態 | 使用する機器 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 安全に立位を保てる | 立位用体重計 | 手すりなどに体重を預けると、測定値に影響する |
| 立位保持が難しい | 車いす用体重計・椅子型体重計 | 車いすやクッションなどの重量を差し引く |
| 移乗が難しい | ストレッチャー型・ベッド型体重計 | 寝具や付属品の重量、機器の設定を確認する |
立位で測ることよりも、安全に、同じ条件で測定することを優先します。
経時的に比較するときの確認事項
| 条件 | そろえたい内容 |
|---|---|
| 測定機器 | できるだけ同じ機器を使用する |
| 測定時刻 | できるだけ同じ時間帯に測定する |
| 衣服・装具 | 衣服、靴、装具などの条件をそろえる |
| 食事・排泄 | 食事や排泄との前後関係をそろえる |
| 水分の状態 | 浮腫、脱水、輸液などの影響を確認する |
体重の増減には、脂肪や筋肉だけでなく、水分量や食事・排泄の影響もあります。変化の理由を、ほかの情報と合わせて検討します。
体組成計で確認できること
InBodyなどの体組成計では、電気的な測定情報をもとに、筋肉量や体脂肪量、体水分量などを推定します。測定できる項目は機種によって異なります。
inbody.co.jp のホームページへ
| 項目 | 結果を見るときのポイント |
|---|---|
| 筋肉量 | 筋力や動作能力と合わせて確認する |
| 体脂肪量・体脂肪率 | 体重やBMIと合わせて体の構成を把握する |
| 体水分量 | 浮腫など、水分状態の影響を考慮する |
| 部位別の測定値 | 左右差や経時的な変化を確認する |
体組成計を使えば、体重測定の精度が必ず高くなるという意味ではありません。 体重に加えて、体の構成を検討する情報が得られる機器です。
浮腫などによる体水分の変化は、結果の解釈に影響します。測定条件をそろえ、機器の取扱説明書に従って使用します。inbody.co.jp
製品・測定方法の詳細:株式会社InBody Japan
BMIの計算方法と結果の見方
BMI(Body Mass Index)は、身長と体重から算出する体格の指標です。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
計算例
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 身長 | 160cm=1.60m |
| 体重 | 60kg |
| 計算 | 60÷1.60÷1.60 |
| BMI | 約23.4kg/m² |
成人のBMI分類
以下は、日本肥満学会の分類です。WHOの分類との混同を避けるため、日本の分類に統一して示します。
jasso.or.jp 日本肥満学会の分類のPDF
| BMI(kg/m²) | 分類 |
|---|---|
| 18.5未満 | 低体重 |
| 18.5以上25未満 | 普通体重 |
| 25以上30未満 | 肥満(1度) |
| 30以上35未満 | 肥満(2度) |
| 35以上40未満 | 肥満(3度) |
| 40以上 | 肥満(4度) |
BMIだけでは判断できないこと
BMIでは、体重のうち筋肉・脂肪・水分がそれぞれどの程度を占めるかは分かりません。
| 状況 | 解釈のポイント |
|---|---|
| 筋肉量が多い | BMIが高くても、体脂肪が多いとは限らない |
| 浮腫がある | 水分の増加によって体重・BMIが高くなる場合がある |
| 筋肉量が少ない | BMIが普通体重の範囲でも、筋力や栄養状態の問題が隠れている場合がある |
| 小児 | 成人の分類をそのまま適用せず、年齢・性別に応じた成長評価を行う |
小児の肥満評価には、成人とは異なる基準を用います。
BMIは評価の入口として活用し、減量の必要性などは、健康状態を含めて医師や管理栄養士などと検討します。
標準体重の計算
BMI 22 を基準にした標準体重は、次の式で算出できます。公益社団法人 日本薬学会
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
身長160cmの場合は、1.60×1.60×22=約56.3kgです。
これは参考値であり、すべての人の目標体重を一律に決めるものではありません。
四肢長の測定方法
四肢長は、決めた骨指標の間の距離を測定します。左右を比較する場合は、姿勢と測定点をそろえます。
以下は測定点の例です。教科書・評価様式・施設によって定義が異なることがあるため、使用する方法を確認してください。
| 項目 | 測定点の例 |
|---|---|
| 上肢長 | 肩峰外側端~橈骨茎状突起 |
| 上腕長 | 肩峰外側端~上腕骨外側上顆 |
| 前腕長 | 上腕骨外側上顆~橈骨茎状突起 |
| 下肢長(棘果長) | 上前腸骨棘~内果 |
| 下肢長(転子果長) | 大転子~外果 |
| 大腿長 | 大転子~膝関節の基準点 |
| 下腿長 | 膝関節の基準点~外果 |
大腿長・下腿長では、膝関節のどの点を使ったかも記録します。単に「膝関節裂隙」とするだけでは、再測定時に位置がずれる場合があります。
測定時の確認ポイント
| 確認事項 | ポイント |
|---|---|
| 骨指標 | 触診で位置を確認し、必要に応じて印をつける |
| 姿勢 | 左右・前回と同じ姿勢にする |
| 拘縮・変形 | 値への影響を考慮し、測定条件を記録する |
| メジャー | ねじれやたるみを避け、決めた測定経路に沿わせる |
四肢周径の測定方法
四肢周径は、上腕・大腿・下腿などの太さを測定する方法です。
筋萎縮や筋肥大、浮腫、腫脹などの変化を検討するときに活用します。ただし、周径の増減だけで、その原因を特定することはできません。
主な測定部位
| 項目 | 測定位置の例 | 記録のポイント |
|---|---|---|
| 上腕周径 | 最大周径、または決めた基準位置 | 栄養評価などで用いる上腕中点の周径とは区別する |
| 前腕周径 | 最大周径 | 最大となる位置を確認する |
| 大腿周径 | 膝蓋骨上縁から5・10・15cm近位など | 基準点からの距離を必ず記録する |
| 下腿周径 | 最大周径 | 姿勢や足の位置をそろえる |
測定位置は、評価の目的や使用する様式に合わせて決めます。
測定の誤差を減らすポイント
| 確認事項 | 方法 |
|---|---|
| 測定位置 | 骨指標や基準点からの距離をそろえる |
| メジャーの方向 | 四肢の長軸に対して直角に巻く |
| 締めつけ | 皮膚に沿わせ、強く食い込ませない |
| 筋の状態 | 力を抜いた状態など、条件をそろえる |
| 姿勢・時間帯 | 前回とできるだけ同じ条件にする |
| 記録単位 | 使用するメジャーと施設の基準に合わせる |
読み取りを一律に0.5cm単位とするのではなく、器具の目盛りと測定手順に応じた桁数で記録します。
記録表の例
| 測定部位 | 右(cm) | 左(cm) | 測定条件 |
|---|---|---|---|
| 上腕周径 | 最大周径・筋弛緩時 | ||
| 前腕周径 | 最大周径 | ||
| 大腿周径 | 膝蓋骨上縁から10cm近位 | ||
| 下腿周径 | 最大周径・測定姿勢を記載 |
障害に関する診断書などで四肢長・周径の記載を求められる場合は、各書類の指定項目と測定方法を確認します。
身体計測の結果をリハビリにどう活かす?
| 測定結果の変化 | 合わせて確認する情報 |
|---|---|
| 体重が減少した | 食事摂取量、筋力、活動量、脱水など |
| 体重が増加した | 浮腫、体水分、食事、活動量など |
| 四肢周径が小さくなった | 筋力、使用頻度、活動量、体重の変化 |
| 四肢周径が大きくなった | 浮腫・腫脹、疼痛、皮膚の状態、筋力の変化 |
| 四肢長に左右差がある | 骨盤の位置、拘縮、変形、立位・歩行への影響 |
身体計測では、単回の数値に加えて、同じ条件で測定した経時的な変化が重要です。
身長・体重・BMI・四肢長・四肢周径を、筋力や動作、栄養状態などとつなげて考えることで、リハビリの計画や再評価に活用できます。
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