リハビリテーション評価では、情報収集によって得られた内容をもとに、対象者の状態をより具体的に把握するための検査・測定を行います。
検査・測定というと、関節可動域測定(ROM)や徒手筋力検査(MMT)などを思い浮かべるかもしれません。
しかし、リハビリテーションで確認するのは身体機能だけではありません。
認知機能や注意機能などの精神・認知機能、起き上がり・歩行・ADLなどの活動、さらに家庭や社会での役割といった参加や、生活を支える環境についても評価する必要があります。
対象者を一つの側面だけから捉えるのではなく、複数の視点から評価することで、
- どのような機能が低下しているのか
- 日常生活で何が難しくなっているのか
- その原因として何が考えられるのか
- 本人が望む生活の実現を妨げているものは何か
- どのような環境や支援が必要なのか
を整理しやすくなります。
ここでは、リハビリテーションにおける検査・測定を、「身体機能」「精神・認知機能」「活動」「参加・環境」の4つに分けて紹介します。
身体機能の検査・測定
身体機能の評価では、対象者の身体が「どのような状態にあるのか」を確認します。
関節可動域、筋力、疼痛、感覚、反射、筋緊張、麻痺、運動失調、バランス、運動耐容能など、運動や日常生活に影響するさまざまな身体機能を評価します。
検査結果を単独で見るのではなく、その身体機能が動作や生活にどのような影響を与えているのかを考えることが重要です。
精神・認知機能の検査・測定
安全で自立した生活を考えるためには、身体機能だけでなく精神・認知機能の評価も重要です。
意識、認知機能、注意、記憶、遂行機能、高次脳機能、心理・精神状態などを確認します。
たとえば、歩行能力そのものは保たれていても、注意障害や判断力の低下によって転倒や事故の危険性が高くなることがあります。
そのため、身体機能との関係も考えながら評価を進めます。
活動の検査・測定
「活動」では、対象者が実際にどのような動作や生活行為を行えるのかを評価します。
寝返り、起き上がり、立ち上がりなどの基本動作から、歩行・移動、食事、更衣、排泄、入浴などのADL、さらに買い物や家事などのIADLまで、実際の生活につながる能力を確認します。
単に「できる・できない」だけでなく、どの程度の介助が必要なのか、どのような方法で行っているのか、安全性や効率性に問題がないかといった点も重要です。
参加・環境の評価
リハビリテーションでは、病院や施設の中で動作ができるようになることだけが最終的な目的ではありません。
家庭生活、仕事、学校、趣味、地域活動など、その人が望む生活や社会との関わりについても確認します。
また、自宅の段差や手すり、福祉用具、家族の支援、介護サービス、交通手段などの環境は、活動や参加を促進することもあれば、制限することもあります。
対象者が「どのような生活を送りたいのか」という視点から、参加と環境を評価することが大切です。
検査・測定結果を統合して考える
それぞれの検査・測定は、数値を記録すること自体が目的ではありません。
たとえば「歩行が不安定」という問題があった場合でも、その背景には筋力低下、関節可動域制限、感覚障害、バランス障害、注意障害、疼痛など、複数の要因が関係している可能性があります。
さらに、身体機能が同程度であっても、自宅環境や家族の支援、本人が希望する生活によって必要なリハビリテーションは異なります。
そのため、
身体機能 → 精神・認知機能 → 活動 → 参加・環境
を別々に見るだけではなく、それぞれがどのように関連しているのかを考えることが重要です。
検査・測定によって得られた情報は、その後の問題抽出・統合分析、目標設定、計画立案へとつなげていきます。
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