リハビリテーション評価は、関節可動域や筋力などを測定するところから始まるわけではありません。まずは対象者について情報を集め、何を確認する必要があるのかを考えます。
同じ「歩きにくい」という訴えでも、病気や治療の経過、発症前の生活、住環境、本人が望む暮らしによって、評価で確かめることは変わります。
このページでは、情報収集を「医学的情報」と「社会的情報」の二つの入口から整理します。
情報収集は何のために行う?
情報収集の目的は、項目を埋めることではありません。得られた情報をもとに、対象者の状態と生活を理解し、検査・測定や目標設定につながる仮説を立てることです。
たとえば、歩行能力を評価するときにも、次のような情報が役立ちます。
- どのような疾患や経過によって歩行が難しくなったのか
- 現在の病状や治療内容から、どのような点に注意が必要か
- 発症前はどの程度歩いていたのか
- 自宅や地域では、どこを歩く必要があるのか
- 本人は歩けるようになって何をしたいのか
情報を集めたら、「分かっていること」「まだ確認できていないこと」「実際に検査・測定して確かめたいこと」を整理しましょう。
医学的情報を集める
医学的情報は、疾患や現在の健康状態、治療の経過を理解し、安全に評価・介入するための情報です。
主に、次のような内容を確認します。
- 現病歴と発症・受傷からの経過
- 既往歴や併存疾患
- 画像・検査所見
- 手術やその他の治療・処置
- 使用している薬剤
- 活動時に注意すべき症状やリスク
たとえば、同じ筋力低下がみられても、発症の経過や併存疾患、治療内容によって、考えられる原因や評価時の注意点は異なります。必要な情報を診療録や他職種から確認し、対象者への問診や観察と照らし合わせることが大切です。
社会的情報を集める
社会的情報は、対象者がどのような環境で、誰と、どのような生活を送ってきたかを理解するための情報です。
主に、次のような内容を確認します。
- 家族構成や支援してくれる人
- 発症前の日常生活や役割
- 住まいの構造や周辺環境
- 仕事、家事、趣味、地域での活動
- 利用しているサービスや福祉用具
- 退院後の生活についての希望や心配
たとえば、病棟内を歩けるようになっても、自宅の玄関に段差がある、買い物先まで長い距離を歩く必要があるなど、実際の生活には別の課題が残ることがあります。
本人の希望を確かめながら、生活の場で必要になる動作や支援を考えましょう。
二つの情報をつなげて考える
医学的情報と社会的情報は、別々に集めて終わりではありません。両方を合わせることで、検査・測定で確かめたいことが具体的になります。
たとえば、脳卒中後に左下肢の動かしにくさがある方が「自宅で暮らしたい」と希望している場合を考えてみます。
医学的情報からは、病変や治療経過、合併症、活動時の注意点を確認します。社会的情報からは、自宅の階段、同居家族、発症前の移動手段、退院後に必要な外出などを確認します。
そのうえで、歩行能力だけでなく、階段昇降や屋外移動、必要な介助・環境調整について、何を評価すべきか考えます。
情報収集は一度で完了するものではありません。検査・測定や介入を進める中で新たな疑問が出たら、必要な情報を追加して確かめていきます。
情報収集の次に行うこと
集めた情報を整理したら、次は対象者への問診や観察を重ね、必要な検査・測定を選びます。そして、得られた結果を生活上の課題や本人の希望と結びつけ、問題点の整理と目標設定へ進みます。
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