リハビリテーション評価における医学的情報とは
リハビリテーション評価では、対象者の身体機能や動作能力を実際に検査・測定するだけでなく、リハビリテーションを開始する前に、対象者がどのような病気やけがを発症し、どのような経過や治療をたどっているのかを把握することが重要です。
このような対象者の疾患や治療に関する情報を、ここでは「医学的情報」として整理します。
医学的情報には、主に次のようなものがあります。
現病歴
- いつ、どのように発症したのか
- 発症から現在までどのような経過をたどっているのか
- 現在どのような症状があるのか
既往歴・併存疾患
- これまでにどのような病気やけがを経験しているのか
- 現在治療中の疾患はあるのか
- リハビリテーションに影響する疾患はないか
画像所見・検査データ
- X線、CT、MRIなどの画像所見
- 血液検査、尿検査などの検査データ
- 心電図や呼吸機能などの生理学的検査
- 炎症や感染に関する情報
治療・処置内容
- 手術や保存的治療の内容
- 酸素療法や点滴などの治療
- ドレーン、カテーテルなどの留置物
- 安静度や荷重制限などの医学的指示
薬剤情報
- 現在使用している薬剤
- 薬剤の作用や副作用
- リハビリテーション実施時に注意すべき薬剤
リスク管理に必要な情報
- 血圧、心拍数、SpO₂などの全身状態
- 転倒、出血、血栓などのリスク
- 感染に関する注意事項
- 運動負荷や離床に関する制限・中止基準
なぜ医学的情報を収集するのか
医学的情報を収集する目的は、単にカルテに記載されている情報を書き写すことではありません。
重要なのは、得られた情報から、
「この対象者には、どのような問題が生じている可能性があるのか」
「これから何を評価する必要があるのか」
「安全にリハビリテーションを行うために、何に注意する必要があるのか」
を考えることです。
たとえば、脳梗塞の対象者であれば、診断名だけでなく、発症日時、病変部位、画像所見、治療内容などを確認します。
右大脳半球に病変があることが分かれば、左片麻痺や感覚障害だけでなく、病変部位によっては半側空間無視などが生じている可能性を考えることができます。
そして実際の評価では、
医学的情報から問題を予測する
↓
必要な検査・測定を選択する
↓
実際に対象者を評価する
↓
得られた結果と医学的情報を照らし合わせる
という流れで情報を活用していきます。
一方、医学的情報には、対象者の状態を予測するだけでなく、リハビリテーションを安全に実施するための情報という重要な役割もあります。
たとえば、心疾患の既往、血圧の変動、貧血、感染、深部静脈血栓症の可能性、抗凝固薬の使用、術後の荷重制限などがあれば、運動負荷や離床方法を検討する必要があります。
そのため医学的情報の収集では、
「対象者の状態を理解するための情報」
と
「安全にリハビリテーションを実施するための情報」
という2つの視点を持つことが大切です。
医学的情報は評価の出発点
リハビリテーション評価では、対象者を実際に見る前から評価は始まっています。
診断名、現病歴、画像所見、検査データ、治療内容、薬剤などの医学的情報を確認し、そこから起こり得る問題を予測します。
そして、その予測を実際の検査・測定や動作観察によって確認していきます。
つまり医学的情報の収集は、単なる「事前確認」ではなく、
「何を評価するのかを考え、安全に評価・介入するための重要なプロセス」
と考えることができます。
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