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認知症スクリーニング検査一覧|認知機能・重症度の評価

 認知機能の低下は、会話や記憶だけでなく、服薬管理、移動、日常生活動作、新しい動作の学習などにも影響します。リハビリテーションでは、認知機能の状態を把握し、その人に合った説明方法や介助方法、練習内容を検討することが大切です。

 認知症のスクリーニングには、HDS-R、MMSE、MoCA-Jなどの検査があります。また、家族や介護者から普段の様子を確認する質問票や、認知症の重症度を評価する尺度もあります。

 このページでは、代表的な検査・評価尺度を目的別に整理し、それぞれの詳しい解説へ案内します。

認知症スクリーニング検査とは?

 認知症スクリーニング検査は、認知機能の低下が疑われる人を把握し、詳しい評価や診察につなげるための検査です。

 記憶、見当識、注意、言語、視空間認知、遂行機能などを調べますが、評価する内容は検査によって異なります。

 検査の点数だけで、認知症の有無や原因疾患を確定することはできません。 本人や家族から得た情報、日常生活への影響、症状の経過、診察や必要な検査を合わせて判断します。

代表的な認知機能スクリーニング検査

 まず、本人に質問や課題を行ってもらい、認知機能を確認する検査を紹介します。

HDS-R・MMSE:全般的な認知機能を確認する

 HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)とMMSE(Mini-Mental State Examination)は、日本の臨床で広く使用されています。

 どちらも全般的な認知機能を確認する検査ですが、課題の構成は異なります。MMSEには書字や図形模写なども含まれるため、上肢の運動障害や視覚障害がある場合には、その影響にも注意が必要です。

MoCA-J:軽度の認知機能低下を確認する

 MoCA-Jは、Montreal Cognitive Assessmentの日本語版です。軽度認知障害(MCI)の検出を目的として開発され、記憶だけでなく、注意、遂行機能、視空間認知なども確認します。

 HDS-RやMMSEの得点が比較的保たれていても、生活場面で認知機能の低下が疑われる場合などに、評価の選択肢となります。

Mini-Cog・時計描画検査:短時間で認知機能を確認する

 Mini-Cogは、3語の遅延再生と時計描画を組み合わせた検査です。

 時計描画検査(CDT)は、時計を描く課題から複数の認知機能を確認します。採点方法には複数の方式があり、使用する方法を明確にする必要があります。

 どちらも、描画に必要な視覚や運動機能の影響を考慮して結果を解釈します。

ACE-III:複数の認知領域を比較的詳しく確認する

 ACE-III(Addenbrooke’s Cognitive Examination III)は、注意、記憶、流暢性、言語、視空間認知の5領域を評価します。

 総得点に加えて、どの領域に低下がみられるかを確認することで、認知機能の特徴を把握する手がかりになります。

家族・介護者から生活上の変化を確認する評価

 検査場面での反応だけでなく、普段の生活の変化を確認することも重要です。

 「薬の飲み忘れが増えた」「予定を管理しにくくなった」「慣れた作業で手順がわからなくなった」といった情報は、短時間の検査では捉えにくい問題を把握する手がかりになります。

情報を得る際は、本人をどの程度よく知っているか、普段の生活を観察できているかも確認します。

認知症の総合評価・重症度評価

 認知機能低下のスクリーニングに加えて、認知症による生活への影響や重症度を把握する評価もあります。

 ABC認知症スケールとCDRは、総合評価・重症度評価として区別して整理します。

ABC認知症スケール:認知機能・ADL・BPSDをまとめて評価する

 ABC認知症スケール(ABC-DS)は、家族や介護者から普段の様子を聞き、次の3領域を評価する尺度です。

  • A:ADL — 日常生活動作
  • B:BPSD — 認知症の行動・心理症状
  • C:Cognitive function — 認知機能

計13項目で構成され、認知症の状態や経時的な変化を総合的に確認します。

CDR:認知症の重症度を評価する

 CDR(Clinical Dementia Rating:臨床認知症尺度)は、本人への評価と家族などから得た情報をもとに、認知症の重症度を判定する尺度です。

 記憶、見当識、判断力と問題解決、社会活動、家庭生活と趣味、身の回りの世話の6領域を評価します。

 認知機能の低下が、日常生活にどの程度影響しているかを把握するために用いられます。

検査は目的に合わせて選ぶ

 すべての検査を一度に実施する必要はありません。確認したい内容や本人の状態に合わせて選びます。

 この表は、検査を選ぶ際の目安です。検査ごとの適用条件や実施手順を確認し、必要に応じて複数の情報を組み合わせます。

リハビリテーションで結果を活用するポイント

 リハビリテーションでは、総得点だけでなく、どの課題で困難がみられたか、生活や練習にどう影響しているかを確認します。

 例えば、説明を覚えにくい場合には、短い説明を繰り返す、見本を示す、手順を見える形にするといった対応を検討します。注意や遂行機能に問題がある場合には、周囲の刺激や課題の複雑さを調整します。

 結果を解釈する際には、難聴、視覚障害、失語、運動障害、教育歴、疲労、体調などの影響も考慮します。急な認知機能の変化がある場合は、せん妄などの可能性も含めて医療チームで確認することが大切です。

 検査結果を、本人が理解しやすく、安全に取り組める支援につなげていきましょう。

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