CDRは、認知機能の障害が日常生活にどの程度影響しているかを確認し、認知症の重症度を評価する尺度です。本人と家族などへの面接から、以前の状態と比べた変化を整理します。
この記事では、CDRの評価領域、面接の進め方、Global CDRの重症度とCDR-SBの違いを解説します。
CDRとは
CDRはClinical Dementia Ratingの略で、日本語では臨床認知症評価尺度と呼ばれます。本人と信頼できる情報提供者への半構造化面接を通して、認知と生活機能の6領域を評価します。[1]
HDS-Rなどの得点をCDRへ単純に変換するものではありません。検査での正答数とは別に、普段の生活への影響を確認します。
CDRの6領域
| 領域 | 確認する内容の概要 |
| 記憶 | 最近の出来事や情報を保持し、生活で使えるか |
| 見当識 | 時間、場所などを把握できるか |
| 判断・問題解決 | 日常の問題を判断し、対処できるか |
| 社会活動 | 買い物、仕事、地域での活動などを行えるか |
| 家庭生活・趣味 | 家事、趣味、家庭での役割を維持できるか |
| 身の回りの世話 | 更衣、清潔、食事などの自己管理ができるか |
各領域の具体的な評定は正式な採点表に従います。[1][2]
CDRの評価方法
1.以前の生活と能力を確認する
本人が普段どのような役割や活動を担っていたかを確認します。もともと家事を担当していなかった人を、現在家事をしないという理由だけで能力低下と判断しないようにします。
2.本人と情報提供者に面接する
本人への質問と、本人をよく知る家族などからの情報を集めます。回答が異なる場合は、具体的な出来事、必要になった援助、変化の時期を確認します。[1]
3.認知機能による生活の低下を評価する
公式採点規則では、以前の通常の能力から、認知機能の障害によって低下した部分を評価します。身体障害や抑うつなど、ほかの要因による困難とは区別します。[3]
例えば、更衣介助が片麻痺だけで必要な場合と、手順や衣服の理解が難しくなって必要な場合では、認知機能の重症度としての意味が異なります。
4.各領域を評定する
領域ごとに正式な記述基準と面接情報を照合し、可能な限り独立して評定します。一般の5領域は0、0.5、1、2、3の段階を用いますが、身の回りの世話には0.5の独立した段階がありません。正式な表を確認してください。[2]
5.Global CDRを決定する
記憶を主領域とし、残る領域との組み合わせから、公式規則・アルゴリズムで全般的な重症度を決定します。[3]
6領域の平均、最高値、単純な多数決だけで決めることはできません。
Global CDRの重症度の見方
| Global CDR | 重症度の基本的な位置づけ |
| 0 | 認知症を示す障害が認められない段階 |
| 0.5 | 疑わしい、または非常に軽度の障害の段階 |
| 1 | 軽度 |
| 2 | 中等度 |
| 3 | 重度 |
公式ウェブページでは0.5を「非常に軽度の認知症」、サンプル採点表では「疑わしい」と表現しています。[2][4] 表現の違いを踏まえ、評定内容を記録することが大切です。
CDR 0.5とMCIは同じではない
CDR 0.5だけでMCIと確定することはできません。日本語版ACE-IIIの研究では、MCI群にも非常に軽度の認知症群にもCDR 0.5が含まれていました。[5] 生活の自立性と診断基準などを合わせて判断します。
CDR-SBとの違い
CDR-SB(Sum of Boxes)は6領域の評定値を合計する指標で、0~18点となります。高得点ほど障害が大きい方向です。[6]
| 指標 | 決め方 | 記録例 |
| Global CDR | 公式規則で全般的な段階を決める | Global CDR 1 |
| CDR-SB | 6領域の値を合計する | CDR-SB 4.5/18 |
Global CDR 1とCDR-SB 1点は別の意味です。指標名を省略せず記録します。
リハビリテーションでの活用
実務上は、全般的な重症度に加え、どの生活領域に困難があるかを確認します。買い物が難しくても、慣れた家事や趣味の一部が保たれている場合があります。
残っている能力を生かして活動を選び、声かけ、環境調整、家族の支援を検討します。Global CDRだけで、歩行や移乗の介助量を決めることはできません。
記録例
記録例:記憶1、見当識0.5、判断・問題解決1、社会活動1、家庭生活・趣味1、身の回りの世話0。公式規則によるGlobal CDRは1、CDR-SBは4.5/18点。面接情報、認知機能による生活への影響、身体障害による介助を区別して記録する。
評価時の注意点
面接情報の質と評定者の理解が重要です。正式な研修・採点資料を確認し、施設内で評定方法をそろえます。使用には権利者のライセンス条件も確認してください。[4]
急な生活機能低下を認知症の進行と決めつけず、体調やせん妄などの影響を確認します。再評価では生活環境や援助の変化も記録します。
まとめ
CDRでは、認知機能による生活の変化を6領域から確認します。Global CDRとCDR-SBを区別し、具体的な生活情報と保たれている能力を、支援計画に活かしましょう。
参考資料
[1] Washington University, Knight ADRC.CDR Dementia Staging Instrument.https://knightadrc.wustl.edu/professionals-clinicians/cdr-dementia-staging-instrument/
[2] Washington University.CDR Scoring Table(サンプル).https://knightadrc.wustl.edu/app/uploads/2021/06/CDR-Table.pdf
[3] Washington University.CDR Scoring Rules.https://knightadrc.wustl.edu/professionals-clinicians/cdr-dementia-staging-instrument/cdr-scoring-rules/
[4] Washington University.CDR Scoring Table・ライセンス案内.https://knightadrc.wustl.edu/professionals-clinicians/cdr-dementia-staging-instrument/cdr-scoring-table/
[5] Takenoshita S, et al. BMC Geriatr. 2019;19:123. https://doi.org/10.1186/s12877-019-1120-4
[6] O’Bryant SE, et al. Staging Dementia Using Clinical Dementia Rating Scale Sum of Boxes Scores. Arch Neurol. 2008. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3409562/
資料確認日:2026年10月9日。
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