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FMAバランス:評価内容と採点時の注意点

 Fugl-Meyer Assessment(FMA)は、脳卒中後の機能障害を評価する尺度です。上肢・下肢の運動機能だけでなく、感覚、バランス、関節可動域、関節痛の領域があります。

 このうちバランス領域では、座位保持、左右のパラシュート反応、立位保持、左右の片脚立位を評価します。

 本記事では、FMAのバランス項目について、評価内容と採点時の注意点、結果の解釈を整理します。

FMAのバランスは7項目・14点満点

 FMAのバランス領域は、座位に関する3項目と、立位に関する4項目から構成されます。それぞれ0~2点で採点し、合計は14点満点です。

 なお、この14点は、上肢運動機能66点・下肢運動機能34点からなる「運動機能100点」とは別の領域です。

 パラシュート反応と片脚立位は、麻痺側・非麻痺側をそれぞれ採点するため、全部で7項目になります。

各項目の評価内容と採点の概要

 以下は、原著に基づいて評価内容を整理した解説です。正式な評価では、使用する評価票の実施条件と採点基準を確認してください。

 ※片脚立位の時間境界には、原著と二次資料で表記の違いがみられます。境界の扱いを独自に補わず、採用した評価票に統一し、実測時間も記録しましょう。

評価時に観察したいポイント

1.座位保持は「座れている条件」を確認する

 座位保持では、背もたれやクッション、検者の支持に頼っていないかを確認します。

 見た目には座位を保てていても、身体を背もたれに強く預けている場合と、自分で姿勢を調整している場合では、支持の条件が異なります。

 採点とあわせて、体幹の傾き、骨盤の位置、上肢で身体を支えているか、疲労によって姿勢が変わるかを記録すると、日常生活での座位の課題を考えやすくなります。

2.パラシュート反応は上肢の保護反応をみる

 パラシュート反応は、身体が側方へ崩れたときに、上肢を伸ばして身体を支えようとする保護反応です。

 原著では、視覚を遮った座位で側方への外乱を加え、左右それぞれの反応を確認します。

 ただし、麻痺側の反応が乏しい場合には、姿勢制御だけでなく、上肢麻痺や関節可動域制限、肩の痛みなどが反応の表出を妨げている可能性も考えます。

 「手が出なかった」という結果だけで、体幹のバランス能力全体を判断しないことが大切です。

 この項目は実際に姿勢を崩すため、転落防止と肩関節への配慮が必要です。麻痺側上肢を引っ張らず、検者が確実に身体を支えられる環境で実施します。安全を確保できない場合は無理に行わず、未実施の理由を残します。

3.支持あり立位は、支持の量を記録する

 支持あり立位では、保持時間だけでなく、他者による支持の程度を確認します。

 検者が体幹や骨盤を大きく支えているのか、軽く触れる程度なのかによって意味が異なります。支持した部位と介助量を具体的に記録すると、再評価時の比較に役立ちます。

 また、立ち上がり動作に必要だった介助と、立った後の保持に必要な介助は分けて記録しましょう。

4.支持なし立位は、時間と安定性をみる

 支持なし立位では、「何秒立てたか」に加えて、動揺や姿勢修正の様子を観察します。

 補足記録としては、麻痺側への荷重、体幹の偏り、膝折れ・反張膝、支持物へ手を伸ばす動きなどが役立ちます。

 これらは臨床上の観察所見であり、独自の減点項目として追加するものではありません。採点は評価票に従い、動作の特徴は別に記載します。

5.片脚立位は、支持脚を明確にする

 「麻痺側の片脚立位」は、麻痺側下肢を支持脚にして立つ課題です。麻痺側の足を持ち上げる課題と取り違えないようにします。

 左右それぞれの実測時間に加えて、骨盤の傾き、体幹の側屈、支持脚の膝の状態などを記録します。非麻痺側を支持脚とする場合にも、安全に保持できると決めつけず、すぐに介助できる位置で評価しましょう。

採点と記録の注意点

評価条件をそろえる

 経時的な変化を比較するには、評価条件をできるだけ統一する必要があります。

 履物、装具、座面・床面、支持の方法、疼痛や疲労の有無などを記録します。評価票と異なる条件で実施した場合は、その違いを明記してください。

未実施と0点を区別する

 能力として課題を遂行できない場合と、医学的理由や安全上の理由で実施しなかった場合は、意味が異なります。

 未実施項目を便宜的に0点へ置き換えて合計することは避け、使用する評価票の規定に従います。全項目を実施していない場合は、そのことが分かる形で結果を示します。

合計点と項目別の変化を併記する

 同じ合計点でも、座位の保護反応に課題がある場合と、片脚立位に課題がある場合では、必要な支援が異なります。

 合計点だけでなく、どの項目が変化したのか、介助量や保持時間がどう変わったのかを確認しましょう。

結果をどのように解釈するか

 FMAのバランス領域は、基本的な座位・立位能力を整理する手がかりになります。一方で、移動中の方向転換や障害物への対応などを、この7項目だけで十分に把握することはできません。

 また、バランス領域、とくに座位のパラシュート反応については、測定特性上の課題が報告されています。上肢・下肢の運動機能領域で示された信頼性や妥当性を、そのままバランス領域全体に当てはめないようにします。

 14点満点であっても、歩行自立や転倒リスクの低さを、それだけで判断することはできません。

 評価目的に応じて、BBS、TUG、BESTestなどによる追加評価や、実際の移乗・歩行場面の観察を組み合わせ、生活場面の課題につなげて考えます。

まとめ

 FMAのバランス領域は、座位3項目・立位4項目の計7項目を、14点満点で評価します。

 採点では、保持時間だけでなく、支持の程度や反応の質を確認することが大切です。とくにパラシュート反応は、上肢麻痺や痛みなどの影響も踏まえて解釈します。

 合計点に加えて、各項目の結果、実測時間、介助量、評価条件を記録し、日常生活で必要な支援や練習内容の検討に活用しましょう。

参考文献

  1. Fugl-Meyer AR, Jääskö L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. 1. A method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7(1):13–31.
  2. Mao HF, Hsueh IP, Tang PF, Sheu CF, Hsieh CL. Analysis and comparison of the psychometric properties of three balance measures for stroke patients. Stroke. 2002;33(4):1022–1027.
  3. University of Gothenburg. Fugl-Meyer Assessment.

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