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心エコー画像の見方|基本断面・壁運動・ドプラーをわかりやすく解説

 心エコー画像は、心臓のどの部分を、どの方向から見ているのかがわかると理解しやすくなります。初めて見るときは、細かな異常を探す前に、心房・心室・弁の位置を確認しましょう。

 この記事では、成人の経胸壁心エコー(TTE)を中心に、基本断面の特徴、心臓の動き、ドプラー画像の読み方を解説します。リハビリ職が画像と報告書の所見を結びつけるための入門記事です。

心エコー画像を読むときの基本

最初に断面と表示方向を確認する

 心エコーは、プローブの位置と向きを変えながら、心臓を複数の断面で観察します。同じ心臓でも、断面が変わると形や見える構造が変わります。

 一般的な断層画像では画面上側がプローブに近い側、下側が深い側です。ただし画面の左右は、撮影法や表示設定によって変わるため、画面左を患者さんの左と考えないようにします。[1]

黒い部分と白い部分の意味

 通常のグレースケール画像では、血液で満たされた心腔は比較的黒く、心筋や弁などの構造は灰色~白く表示されます。明るさは超音波の反射や装置の設定に左右されるため、「白いから異常」「黒いから液体」と一律に判断できるものではありません。

静止画と動画を使い分ける

 静止画は構造の位置関係や測定箇所を学ぶのに適しています。一方、収縮・弁の開閉・逆流のタイミングなどを理解するには動画が役立ちます。

 1枚の静止画からEFや壁運動、弁膜症の重症度を決めることはできません。 心周期のどの時点か、別の断面でも同じ所見があるかを確認します。

代表的な基本断面

 最初は長軸像、乳頭筋レベルの短軸像、四腔像の3つで位置関係を学び、二腔像・三腔像へ進むと整理しやすくなります。

1.傍胸骨長軸像:左室と弁のつながりを見る

 傍胸骨長軸像は、心臓を長い方向に切った断面です。左室から大動脈へつながる経路と、左房から僧帽弁を通って左室へ入る経路を確認できます。

 まず左室を見つけ、次に左房、僧帽弁、左室流出路、大動脈弁・大動脈基部をたどります。プローブに近い側には右室の一部が映ります。

 左室径や壁厚の測定と結びつけて理解しやすい断面です。ただし斜めに切れた断面では径や厚さが正しく評価できないため、画像の見た目だけで数値を推測しないようにします。

2.傍胸骨短軸像:左室を輪切りで見る

 短軸像は、心臓を輪切りにする方向の断面です。どの高さを切っているかで、見える構造が変わります。

 乳頭筋レベルでは、左室が比較的円形に見え、右室は左室に沿う三日月状の形として見えることがあります。左室の壁が収縮期に内側へ動き、厚くなるかを動画で確認します。

 中隔の平坦化によって左室がD字状に見える場合は右室の圧・容量負荷などを考える所見になりますが、どの心周期で起きているかを含めた評価が必要です。[2]

3.心尖部四腔像:4つの部屋を確認する

 心尖部四腔像では、左右の心房と心室、僧帽弁と三尖弁を観察します。一般的な表示では心尖部が画面上側、心房が下側に位置します。

 画面上の左右だけで心腔を決めず、心室の形や弁のつながりを見て、右室・左室を確認しましょう。

 本来の心尖部を通らずに撮影すると、左室が短く見える「心尖部短縮」が生じます。容積や機能の評価に影響するため、形が小さく見えるだけで正常とは判断できません。[3]

 なお、心尖部五腔像の「5つ目」は独立した心腔ではなく、四腔像から傾けて見える左室流出路を指します。

4.心尖部二腔像・三腔像:別の方向から確かめる

 二腔像では左室と左房を、三腔像では左室・左房に加えて左室流出路と大動脈弁を観察します。

 四腔像だけでは左室壁の全体を評価できないため、複数の方向から観察します。左室容積やEFの測定では、四腔像と二腔像を使う二断面法などが用いられます。[3]

 画像と数値を結びつけるときは、報告書のEFがどの方法で求められたかも確認しましょう。

5.心窩部・肋骨弓下の画像:下大静脈などを見る

 心窩部・肋骨弓下からは、心臓の四腔や中隔などを観察できます。向きを変えると下大静脈が右房へ入る部分も描出できます。

 下大静脈では、呼気時の径と、吸気・スニッフによる変化を観察し、右房圧の推定に用います。静止画で径を見ることと、呼吸による変化を見ることは別の評価です。

 人工呼吸管理中などでは一般的な呼吸性虚脱による推定が適さない場合があります。詳しい数値は「心エコーの数値・略語の見方」で確認してください。[2]

動画で見る壁運動と弁の動き

壁は内側への動きと厚くなる様子を見る

 左室壁の収縮評価では、内側へ動くことに加えて、収縮期に厚くなる様子を確認します。心臓全体の移動を、局所の収縮と取り違えないことが大切です。[3]

 局所壁運動異常には虚血・梗塞以外の原因もあります。1か所の動きだけで原因疾患を決めず、複数断面と報告書の総合所見を確認します。

弁の開閉は心周期と合わせて見る

 僧帽弁・三尖弁は心室拡張期に開き、収縮期に閉じます。大動脈弁・肺動脈弁は心室収縮期に開き、拡張期に閉じます。

 動きや形態に気になる所見があっても、弁口面積、血流速度、圧較差、逆流評価などを合わせないと重症度は判断できません。

カラードプラーの見方

 カラードプラーは、プローブに対する血流方向などを色で表示します。一般的な設定では、近づく血流が赤、遠ざかる血流が青ですが、反転設定もあるため、必ず画面のカラーバーを確認します。[4]

 赤=動脈血、青=静脈血ではありません。また、赤=正常、青=逆流でもありません。

 色の切り替わりは、血流速度が表示範囲を超えるエイリアシングなどでも生じます。色が混在しているだけで、逆流や乱流を断定しないようにしましょう。

 逆流を見るときは、色そのものよりも「どの弁を越えて、どちらへ、いつ流れているか」を確認します。

 逆流表示の面積は装置設定やジェットの方向にも左右されるため、見た目の大きさだけで重症度を決めることはできません。

ドプラー波形とMモードの見方

 スペクトルドプラーでは通常、基線より上はプローブに近づく方向、下は遠ざかる方向ですが、ここでも反転設定を確認します。[4]

 Mモードの縦軸は主に深さ・距離であり、スペクトルドプラーの速度軸とは異なります。

画像と報告書を結びつけるチェックポイント

 画像には描出不良や、実際の構造と異なる像が現れるアーチファクトもあります。「見えないから存在しない」「1枚で正常だから異常なし」とは判断できません。

 リハビリでは画像の印象だけで運動強度を変更せず、医師の評価、病状、治療内容、施設の中止基準と合わせて活用します。

まとめ

 心エコー画像は、断面名と構造の位置を確認し、次に動きと血流を観察すると理解しやすくなります。基本断面を覚え、同じ所見を複数の方向から確認することが大切です。

 静止画で位置関係を学び、動画で壁や弁の動きを確かめ、報告書の数値と総合所見へつなげましょう。

参考文献

1. Mitchell C, et al. Guidelines for Performing a Comprehensive Transthoracic Echocardiographic Examination in Adults. J Am Soc Echocardiogr. 2019;32:1–64. https://doi.org/10.1016/j.echo.2018.06.004

2. Ohte N, et al. JCS 2021 Guideline on the Clinical Application of Echocardiography. Circ J. 2022;86:2045–2119. https://doi.org/10.1253/circj.CJ-22-0026

3. Lang RM, et al. Recommendations for Cardiac Chamber Quantification by Echocardiography in Adults. J Am Soc Echocardiogr. 2015;28:1–39.e14. https://doi.org/10.1016/j.echo.2014.10.003

4. Quiñones MA, et al. Recommendations for Quantification of Doppler Echocardiography. J Am Soc Echocardiogr. 2002;15:167–184. https://doi.org/10.1067/mje.2002.120202

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