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FMA下肢の評価内容と採点時の注意点|運動機能34点の見方

FMA下肢:評価内容と採点時の注意点

 脳卒中後の下肢機能を評価するときには、筋力だけでなく、共同運動の影響や、目的とする関節を選択的に動かせるかを確認することが大切です。

 Fugl-Meyer Assessment(フューゲルマイヤー評価法:FMA)の下肢運動機能評価は、反射、共同運動、共同運動からの分離、協調性などを通して、麻痺側下肢の運動障害を捉える評価です。

 本記事では、FMA下肢の評価内容と、採点時に注意したいポイントを解説します。実施・採点には、正式な評価用紙とマニュアルを併用してください。

FMA下肢とは

 FMAは、脳卒中後の機能障害を評価するために開発された評価法です。下肢運動機能を評価する部分は「FMA-LE」と呼ばれ、17項目、合計34点満点で構成されています。

 FMAには感覚、他動関節可動域、関節運動時の疼痛などの評価もありますが、これらは下肢運動機能34点とは別に扱います。記録には「FMA下肢運動機能:○/34点」と記載すると、評価範囲が伝わりやすくなります。

FMA下肢の評価内容

 下肢運動機能は、次の6つの領域から構成されます。

 共同運動内の随意運動では、屈曲側の股関節屈曲・膝関節屈曲・足関節背屈、伸展側の股関節伸展・内転・膝関節伸展・足関節底屈を個別に採点します。

1.反射活動

 最初の反射項目では、反射を誘発できるかを確認します。

 ここで注意したいのは、反射が出ることと、反射が正常であることは別の評価という点です。最初の反射項目は0点または2点で採点し、1点はありません。

2.共同運動内の随意運動

 背臥位で下肢を曲げる・伸ばす運動を行い、共同運動を構成する各関節の動きを確認します。

 観察では、下肢全体の動きだけで判断せず、股関節・膝関節・足関節のどこに随意運動が出ているかを捉えます。特に、重力で下肢が下がる動きを、自ら伸ばした運動と混同しないことが大切です。

3.共同運動を組み合わせた随意運動

 座位で膝関節屈曲と足関節背屈を評価します。

背臥位で下肢全体を曲げられても、座位で膝や足関節を動かせるとは限りません。姿勢や関節の組み合わせを変えることで、運動の選択性を確認します。

4.共同運動への依存が少ない随意運動

 立位で、股関節の位置を保ちながら膝関節屈曲・足関節背屈を評価します。

 「踵が上がった」「つま先が上がった」という結果に加えて、股関節や体幹の動きを伴っていないかを観察します。

5.正常な反射活動

 反射の正常性を評価する項目です。直前の立位運動2項目が満点の4点となった場合に評価し、4点未満では、この項目は0点になります。

6.協調性・速度

 背臥位・閉眼で、踵を反対側の膝に当てて戻す運動を繰り返し、振戦、目標位置からのずれ、所要時間を評価します。

採点時の注意点

1.すべてを「できない・少しできる・できる」で判断しない

 多くの項目は0~2点で評価しますが、満点となる条件は項目ごとに異なります。

 運動範囲だけでなく、抵抗に対する力、他関節の位置、代償運動なども採点に関わります。各項目の基準に戻って判断することが必要です。

2.伸展共同運動では重力の影響を確認する

 伸展共同運動では、検者が抵抗を加えて、自動運動であることを確認します。単に下肢をベッドへ戻せたという観察だけで、満点と判断しないようにします。

3.バランス支持と運動介助を区別する

 座位・立位では、バランスを保つための支持が認められています。一方、検者が麻痺側下肢を持ち上げるなど、評価対象の運動そのものを助ける介助とは区別します。

 「支持あり」の記録だけでは条件が曖昧になるため、何を、どのように支えたかも残すと再評価に役立ちます。

4.関節可動域制限や疼痛の影響を記録する

 運動範囲が小さい場合には、随意運動障害に加えて、拘縮や疼痛の影響を確認します。

 2026年の国際標準化マニュアルでは、立位不能や疼痛などによって評価できない項目は、評価不能であることと理由を記録し、0点とする扱いが示されています。同じ0点でも、運動が出ない場合と、実施条件を満たせない場合では意味が異なります。

5.協調性の低得点を、そのまま失調と判断しない

 協調性課題の遂行には、麻痺、感覚障害、疼痛、関節可動域制限、指示理解なども関わります。

 そのため、低得点の背景を確認せずに「小脳性失調がある」と結論づけることは避けます。課題を実施できたか、どの段階で難しくなったかを併記すると、結果を解釈しやすくなります。

結果を臨床にどう生かすか

合計点と項目別の変化を確認する

 同じ合計点でも、足関節背屈が難しい人と、膝関節を選択的に曲げることが難しい人では、動作上の課題が異なります。

 再評価では、合計点に加えて、改善した項目と残存している課題を確認します。

 例えば、座位で足関節背屈が可能になっても、立位では股関節の動きを伴う場合があります。この違いは、姿勢条件によって運動の選択性が変わることを考える手がかりになります。

歩行能力は別に評価する

 FMA下肢の結果だけで、歩行自立度や転倒リスクを判断することはできません。

 歩行には、麻痺側下肢の運動機能に加えて、バランス、感覚、体幹機能、持久力、注意機能、装具や歩行補助具などが関わります。

 FMA下肢と歩行観察、歩行速度、バランス評価などを組み合わせ、「どの機能障害が、どの動作に影響しているか」を検討します。

記録のポイント

 記録では、次の情報を残しておくと、経過を比較しやすくなります。

  • 下肢運動機能の合計点と項目別得点
  • 使用した評価用紙・マニュアルの版
  • 評価姿勢と支持の方法
  • 疼痛・可動域制限・理解面などの影響
  • 評価不能となった項目と理由

 点数の変化に加えて、運動の出現、代償の減少、姿勢条件による違いを記録することで、介入方針につながる評価になります。

まとめ

 FMA下肢は、脳卒中後の下肢運動障害を、反射、共同運動、運動の選択性、協調性などから評価する方法です。

 採点では、動いたかどうかだけでなく、姿勢、運動範囲、抵抗、代償、支持条件を項目ごとに確認します。

 合計点と項目別の結果を整理し、歩行や基本動作の評価と結び付けることが大切です。

参考文献・資料

  1. Fugl-Meyer AR, Jääskö L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. I. A method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7(1):13–31.
  2. Hervé-Colas J, et al. Standardized International Manual of the Fugl-Meyer Assessment of Motor Function After Stroke. Neurorehabil Neural Repair. 2026. doi:10.1177/15459683251412300.
  3. University of Gothenburg. Fugl-Meyer Assessment:評価用紙・マニュアル・日本語版.

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