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FMA上肢の評価内容と採点時の注意点|66点の構成と結果の見方

 脳卒中後の上肢麻痺では、腕が上がるか、手を握れるかに加えて、どのような運動パターンで動かしているかを確認することが大切です。

 Fugl-Meyer Assessmentの上肢運動機能評価(FMA-UE)は、共同運動や分離運動、手関節・手指の運動、協調性などを評価します。

 本記事では、項目の多いFMA上肢について、全体の構成と採点時に確認したいポイントを整理します。実際の採点には、使用する版の評価用紙とマニュアルを併用してください。

FMA上肢は何を評価するのか

 FMAは、脳卒中後の感覚運動障害を評価するために開発された評価法です。

 一般に「FMA上肢66点」と呼ばれるものは、上肢の運動機能部分を指します。感覚、他動関節可動域、関節痛は、この66点とは別に扱います。

 臨床では、合計点に加えて「どの部分が動かしにくいのか」を読み取ることが重要です。例えば、肩・肘の運動と手指の運動では、必要となる練習や生活上の課題が異なります。

FMA上肢の構成と配点

 上肢運動機能は、次の4領域で構成されます。

領域主な評価内容満点
A:肩・肘・前腕反射、共同運動、共同運動を組み合わせた運動、分離性の高い運動36点
B:手関節背屈保持、掌背屈、分回し10点
C:手指集団屈曲・伸展、各種把持14点
D:協調性・速度振戦、測定障害、動作時間6点
合計上肢運動機能66点

 この構成を先に押さえておくと、個々の項目を整理しやすくなります。

A:肩・肘・前腕の評価

反射活動

 最初の反射項目では、屈筋群と伸筋群の反射が誘発されるかを確認します。

 ここで注意したいのは、反射が出ることと、反射が正常であることは別の評価だという点です。最初の反射項目には1点がなく、0点または2点で採点します。

 反射の結果だけから随意運動の状態を判断せず、その後の運動項目と合わせて解釈します。

共同運動内の随意運動

 屈曲共同運動と伸展共同運動の中で、肩甲帯、肩関節、肘関節、前腕の運動を確認します。

 屈曲共同運動では、肩甲帯の後退・挙上、肩関節の外転・外旋、肘屈曲、前腕回外を評価します。伸展共同運動では、肩関節の内転・内旋、肘伸展、前腕回内を評価します。

 観察では、動作全体の印象に流されないことが大切です。

 例えば、手が顔の近くまで届いても、肩外旋が十分に生じているとは限りません。どの成分が出現し、どの成分が不足しているのかを分けて確認します。

共同運動を組み合わせた運動

 手を腰部へ回す動作、肘を伸ばした状態で腕を前方へ挙げる動作、肘屈曲位での前腕回内・回外などを評価します。

 ここでは、目的の位置まで到達することに加えて、途中の動き方に注目します。

 「腕は前に上がったが、途中で肘が曲がった」「手を後ろへ回す際に体幹を大きく回した」といった所見を残すと、得点の背景が伝わりやすくなります。

共同運動への依存が少ない運動

 肘伸展位での肩外転、肩屈曲90°以上の運動、肘伸展位での前腕回内・回外を評価します。

 臨床で確認したいのは、ある関節を動かしたときに、別の関節の姿勢を保てるかという点です。

 例えば、肩を外転すると同時に肘が曲がる場合は、到達角度だけでは運動の特徴を説明できません。開始時から崩れるのか、途中から崩れるのかも観察します。

正常反射活動

 後半の反射項目では、反射の亢進程度を確認します。直前の「共同運動への依存が少ない運動」が満点となった場合に評価する条件があるため、最初の反射項目と混同しないようにします。

B:手関節の評価

 手関節では、背屈位の安定性、掌屈・背屈の反復、分回しを評価します。肘屈曲位と肘伸展位で行う項目があります。

 観察では、次の点を整理すると分かりやすくなります。

  • 手関節を自分で動かしているか
  • 動かした位置を保持できるか
  • 肘の位置が変わると動きやすさが変化するか
  • 前腕や上肢全体の動きで補っていないか

 「背屈できる」という記録だけでは、可動範囲や保持能力までは分かりません。得点と合わせて、何が難しかったのかを記載します。

C:手指の評価

 手指では、まとめて握る・開く運動と、複数の把持パターンを評価します。

 把持課題には、鉤状把持、母指内転、母指と示指によるつまみ、円筒握り、球状握りがあります。

 採点では、物品が手に収まっているだけなのか、自分で把持しているのかを確認します。また、握る動作に目が向きやすいため、手指を開く能力も意識して観察します。

 臨床記録では、次のように具体化すると役立ちます。

手指の屈曲は可能だが、開く際に示指・中指の伸展が不足する。物品を持つことに比べ、手放す場面で時間を要する。

 このような所見は、評価後に実際の物品操作を確認する際の手掛かりになります。

D:協調性・速度の評価

 協調性・速度では、指を鼻へ運ぶ反復動作を用い、振戦、測定障害、動作時間を確認します。時間は非麻痺側との差を用いて判定します。

 観察では、遅さと不正確さを分けて考えることが大切です。

 ゆっくりでも正確に行う場合と、速く動かそうとして目標からずれる場合では、動作の特徴が異なります。また、痛みや指示理解の問題が影響していないかも、所見として残します。

採点時に共通して注意したいこと

すべてを「できる・少しできる・できない」で判断しない

 基本は0~2点ですが、各点の意味は項目によって異なります。

 採点条件に迷った場合は、その項目の基準へ戻ります。2026年の国際合意マニュアルでは、判定に不確実性がある場合は低い点を選ぶとされています。

 迷った理由も記録しておくと、再評価や評価者間の確認に役立ちます。

開始姿勢と支え方をそろえる

 同じ運動でも、姿勢や支え方が変われば結果は変化します。

 マニュアルでは座位を標準とし、支持や介助の可否を項目ごとに定めています。姿勢を変更した場合には、その条件を記録します。

 再評価では、椅子、上肢の位置、使用物品などを確認し、比較できる条件を整えます。

動作の結果と過程を両方見る

 手が目標に届いたかだけでは、どのように動かしたかが分かりません。

 例えば、体幹を傾けて手を高くした場合と、肩関節の運動で高くした場合では、観察される運動機能が異なります。

 評価中は「どこまで動いたか」と「どのように動いたか」を分けて記録すると、採点根拠が明確になります。

痛みや拘縮による制限を残す

 低得点の背景が、すべて運動麻痺とは限りません。

 2026年のマニュアルでは、痛みなどにより検査できない場合は、検査不能であることを示して0点とし、理由を記録する扱いが示されています。

 「0点」とだけ記載すると背景が失われるため、疼痛部位や動作を中止した理由などを併記します。

結果をリハビリテーションへどうつなげるか

 臨床では、合計点と各領域の内訳を並べて整理することをおすすめします。

結果の整理例次に確認したいこと
肩・肘の動きに比べて手指の得点が低い握る・開く・持ち替える際の具体的な難しさ
肘の位置によって手関節運動が変わる実際に物へ手を伸ばす場面での手関節の状態
動作は成立するが時間を要する正確さ、疲労、反復による変化
痛みで実施できない項目がある疼痛と運動障害を分けて評価できているか

 これらは、得点から生活動作を決めつけるためのものではありません。評価で得た仮説を、食事、更衣、整容、物品操作などの観察で確かめるための視点です。

記録の例

 以下は記録例です。

 FMA-UE運動機能:38/66点
 A:24/36点、B:6/10点、C:5/14点、D:3/6点。
 肘伸展位での肩運動に伴い、肘屈曲が出現する。手指は集団屈曲に比べて伸展が不十分。円筒状物品は保持できるが、手放す際に時間を要する。次回は同じ姿勢・物品で再評価し、食事と整容場面での上肢使用も確認する。

 合計点、内訳、特徴的な所見、次に確認する課題をそろえると、経過を共有しやすくなります。

参考文献・評価資料

  1. Fugl-Meyer AR, Jääskö L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient. I. A method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7(1):13–31.
  2. Hervé-Colas J, et al. Standardized International Manual of the Fugl-Meyer Assessment of Motor Function After Stroke. Neurorehabil Neural Repair. 2026. DOI: 10.1177/15459683251412300.
  3. University of Gothenburg. Fugl-Meyer Assessment:評価用紙・マニュアル・日本語版

 ※本記事は評価内容を理解するための解説です。個々の採点条件は、使用する評価用紙と対応するマニュアルで確認してください。

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