心電図は、心臓の電気的な活動を波形として記録した検査です。心拍数やリズム、刺激の伝わり方、心筋虚血などを考える手がかりになります。リハビリテーションでは、安静時の所見に加えて、離床や運動に伴う変化を把握することが大切です。
このページでは、心電図を読むための基本と観察の順番を整理します。詳しい内容は「異常波形の見方」「心電図と疾患の関係」「リハビリでの対応」の各ページで解説します。
心電図について学ぶ
| 知りたい内容 | 進むページ |
| 波形やリズムの異常を知りたい | 異常波形の見方(準備中) |
| 心電図所見を病気や病態と結び付けたい | 心電図と疾患の関係(準備中) |
| 離床や運動時の観察と対応を知りたい | 心電図所見を踏まえたリハビリでの対応(準備中) |
心電図で分かることと確認が必要なこと
心電図からは、心拍の速さや規則性、心房から心室への伝導、波形の変化などを読み取ります。一方、心臓の収縮力や心拍出量を心電図だけで直接評価することはできません。心エコー、血圧、脈拍、症状などと合わせて解釈します。
また、記録中に異常がなくても、発作性の不整脈や心筋虚血を否定できるとは限りません。以前の記録との比較や、症状が出現した時点の記録が重要です。
基本波形の意味を押さえる
通常、心臓の興奮は洞結節から始まり、心房、房室結節、ヒス束、右脚・左脚、プルキンエ線維を経て心室へ伝わります。この電気的な活動を理解すると、波形の意味を整理しやすくなります。[1]
| 波形や間隔 | 主に表していること |
| P波 | 心房の脱分極(電気的な興奮) |
| PQ間隔(PR間隔) | P波の始まりからQRS群の始まりまで。心房から心室への伝導時間の指標 |
| QRS群 | 心室の脱分極 |
| ST部分 | QRS群の終わりからT波の始まりまでの部分 |
| T波 | 心室の再分極(電気的な回復) |
| QT間隔 | QRS群の始まりからT波の終わりまで。心拍数の影響を受ける |
波形は電気的活動を表しており、収縮そのものを直接描いたものではありません。QT間隔は心拍数の影響を受けるため、評価には補正QT時間(QTc)なども用います。
12誘導心電図とモニター心電図の違い
| 種類 | 主な役割 | 読む際の注意 |
| 12誘導心電図 | 複数の方向から波形を記録し、形態や変化の分布を評価する | 四肢誘導6つと胸部誘導6つを総合して読む |
| モニター心電図 | 心拍数やリズムなどの経時的な変化を監視する | 表示誘導、電極位置、フィルターなどにより波形が変わる |
同じ心拍でも誘導によって波形の向きや形は異なります。上向き・下向きだけで異常とは判断できません。モニターの限られた誘導だけで、虚血の有無や疾患を確定することもできません。必要に応じて12誘導心電図などで確認します。[1]
記録条件を確認する
心電図の横軸は時間、縦軸は電位を表します。
一般的な記録条件である紙送り速度25 mm/秒、感度10 mm/mVでは、横1 mmは0.04秒、縦1 mmは0.1 mVに相当します。
速度や感度が異なると見た目も変わるため、実際の設定を確認してから読みます。
心電図を読むときの基本の順番
| 順番 | 確認する内容 |
| 1 患者と記録を確認 | 本人の記録か、いつ・どの状況で記録したか、誘導と記録条件は何か |
| 2 記録の質を見る | 体動、筋電図、基線の揺れ、電極の外れなどがないか |
| 3 心拍数とリズムを見る | 速さ、RR間隔の規則性、普段との変化はあるか |
| 4 P波とQRS群の関係を見る | P波が確認できるか、QRS群とどのように対応しているか |
| 5 間隔と波形を見る | PQ間隔、QRS幅、QT・QTc、ST・T波などに変化があるか |
| 6 症状や他の情報と照合する | 胸痛、動悸、息切れ、めまい、意識状態、血圧、脈拍、過去の記録と合うか |
成人安静時の心拍数は一般に60〜100回/分が目安ですが、年齢、運動習慣、薬剤などにより異なります。この範囲に入っていることだけで、安全性や正常性は判断できません。[2]
異常波形の見方
異常波形を理解するには、まず「速い・遅い」「規則的・不規則」「P波とQRS群の関係」「QRS群の幅」「ST・T波の変化」に分けて観察すると整理しやすくなります。
下位ページでは、期外収縮、心房細動・心房粗動、頻拍、徐脈、房室ブロック、脚ブロック、ST変化、QT延長などを扱います。体動や電極接触不良によるアーチファクトとの区別も確認します。
→ 異常波形の見方
心電図と疾患の関係
同じ心電図所見が複数の疾患や病態でみられることがあります。例えばST上昇がある場合も、心筋梗塞だけでなく、ほかの原因を含めて評価が必要です。波形と病名を一対一で結び付けず、症状、経過、採血、画像検査などと合わせて考えます。
疾患との関係を扱うハブでは、虚血性心疾患、心不全・心筋症、弁膜症、電解質異常、薬剤の影響などへ案内します。病態の詳しい説明と、波形の詳しい説明を内部リンクでつなげます。
→ 心電図と疾患の関係
リハビリでの対応
リハビリでは、運動前の状態を把握し、実施中と回復時に何が変化したかを確認します。既知の不整脈か、新しく出現した変化かによっても対応は異なります。運動の実施可否や中止・再開は、疾患、症状、循環動態、医師の指示、施設の手順を踏まえて判断します。[3]
意識消失、強い胸痛、急な循環動態の悪化、致死性不整脈が疑われる場合は、運動を直ちに中止し、応援要請と施設の救急対応を行います。アーチファクトの確認に時間をかけて、患者の状態確認や救急対応を遅らせないことが大切です。[3]
下位ページでは、運動前・中・後の観察、負荷の調整、中止と報告、緊急時の対応、医師・看護師との情報共有、記録の残し方を解説します。
→ 心電図所見を踏まえたリハビリでの対応
あわせて確認したい検査と評価
心電図所見を臨床で活用するために、次のページも関連付けて確認しましょう。
・心エコーの見方:心臓の構造や収縮機能、弁膜症などを確認する
・採血結果の見方:電解質や心筋障害・心不全に関連する検査値を確認する
・バイタルサインとリスク管理:症状、血圧、脈拍などを合わせて判断する
・運動耐容能の評価:運動負荷に対する反応を把握する
参考資料
[1]東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部 心電図講座
[2]日本大学医学部附属板橋病院 循環機能検査室 基準値・基準範囲

[3]日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会 2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf
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