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混合性疼痛とは?痛みの仕組み・具体例とリハビリ評価のポイント

混合性疼痛とは

 混合性疼痛(mixed pain)とは、複数の痛みの発生機序が重なっている状態を指す言葉です。

 従来は、組織の損傷や炎症による「侵害受容性疼痛」と、体性感覚神経系の病変・疾患による「神経障害性疼痛」が併存する状態として説明されることが多くありました。

 近年は「痛覚変調性疼痛」を含めて考えるようになり、2026年に発表された専門家の合意論文では、これら3つのうち、少なくとも2つが重なる状態として定義が提案されています。

 ただし、これは専門家による提案であり、混合性疼痛を独立した第4の発生機序として扱うものではありません。何と何が重なっているのかを具体的に評価することが大切です。

混合性疼痛に関わる3つの痛み

 痛みの仕組みを整理すると、次のようになります。

 これらは、必ずしも互いに排他的なものではありません。例えば、侵害受容性疼痛と痛覚変調性疼痛が併存する場合もあります。

 それぞれの詳しい内容は、「侵害受容性疼痛とは」「神経障害性疼痛とは」「痛覚変調性疼痛とは」の記事で解説します。

混合性疼痛の具体例

腰部の痛みと神経根由来の痛みが重なる場合

 例えば、腰部の筋・関節などに由来する痛みに、神経根の病変による下肢痛が重なる場合には、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の併存を考えます。

 ただし、腰痛と下肢痛があるだけで、混合性疼痛と判断できるわけではありません。

 下肢の痛みには、神経の損傷によらない関連痛などもあります。神経障害性の要素を判断するには、原因となる病変・疾患、神経解剖学的に説明できる痛みの分布、感覚所見などを確認する必要があります。

術後やがんに関連する痛み

 術後には、手術部位の組織損傷による痛みに、神経損傷による痛みが重なることがあります。

 また、がんに関連する痛みでも、骨や軟部組織への影響と、神経への浸潤・障害による痛みが併存する場合があります。

 このように、同じ疾患に関連する痛みでも、複数の仕組みが関与することがあります。ただし、疾患名だけで混合性疼痛と決めず、患者ごとに評価します。

混合性疼痛の評価のポイント

1.痛みを一つにまとめず、部位や場面ごとに聞く

 臨床では、複数の痛みをまとめて「痛い」と表現している場合があります。

 そのため、問診では次のように整理すると、症状の違いを把握しやすくなります。

 例えば、「腰の重い痛み」と「足先に走る痛み」を分けて記録すると、介入後にどちらが変化したのかを比較しやすくなります。

2.痛みの表現だけで仕組みを決めない

 「ビリビリする」「焼けるように痛い」といった表現は、神経障害性疼痛を疑う手がかりになります。

 しかし、その言葉だけで確定することはできません。病歴、痛みの分布、感覚低下などの診察所見を合わせて判断します。

 DN4やpainDETECTなどの質問票も、神経障害性の要素を調べる補助として用いられますが、質問票だけで診断を確定するものではありません。

3.身体所見と生活背景を合わせて確認する

 リハビリテーションでは、問診に加えて、関節可動域、筋力、動作時の反応、感覚、日常生活動作などを確認します。

 また、睡眠不足、不安、活動への恐怖、仕事や家庭での負担なども把握します。痛みの体験には、生物学的・心理的・社会的な要因が影響するためです。

 ただし、不安があることや画像所見だけで説明しにくいことを理由に、「心理的な痛み」「痛覚変調性疼痛」と決めつけないようにします。

リハビリテーションでの考え方

 以下は、痛みの仕組みを整理して臨床に生かすための実践例です。

評価所見に応じて介入を組み立てる

 「混合性疼痛」という名称だけで、運動や物理療法の内容を決めることはできません。

 組織の治癒段階、神経症状、動作時の反応、活動量、本人の目標などを踏まえ、負荷や方法を調整します。

 例えば、歩行練習の前後で、腰部の痛みと下肢の痛みを別々に確認すれば、一方が改善していても、もう一方が増悪していることに気づきやすくなります。

痛みと生活機能の両方を追う

 経過を確認するときは、痛みの強さだけでなく、次のような変化も記録します。

  • 歩ける距離や時間
  • 更衣・入浴などの行いやすさ
  • 睡眠への影響
  • 活動後に症状が落ち着くまでの時間
  • 本人が再開したい活動への到達度

 新たな筋力低下や感覚障害が出現するなど、症状が変化した場合には、評価結果を医師と共有し、原因や方針を再確認します。

まとめ

 混合性疼痛は、複数の痛みの発生機序が重なる状態を表す言葉です。

 評価では「混合性疼痛である」と分類して終えるのではなく、どの仕組みが、どの症状に関与していると考えられるか、その根拠は何かを整理します。

 リハビリテーションでは、部位ごとの痛み、身体所見、生活への影響を継続して確認し、状態の変化に合わせて介入を調整することが大切です。

参考文献

  1. Freynhagen R, et al. Mixed Pain: Toward a Consensus Definition and a Mechanism-Based Framework. European Journal of Pain. 2026;30(7).
    論文を読む
  2. International Association for the Study of Pain. IASP Terminology.
    IASPの用語解説
  3. Finnerup NB, et al. Neuropathic pain: an updated grading system for research and clinical practice. Pain. 2016;157(8):1599–1606.
    PubMedで読む

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