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電解質異常と心電図|高・低カリウム血症の波形とリハビリ前の確認点

 心電図でT波が尖っていたり、QT間隔が長くなっていたりするとき、採血結果を一緒に見ると変化の背景を考えやすくなります。特にカリウム(K)の異常はT波や心室内伝導に、カルシウム(Ca)の異常はQT間隔に変化をもたらすことがあります。高カリウム血症では、目立つ心電図変化がなくても対応が必要な場合があります。[1–4]

 ここでは、PT・OT・STが診療録を確認するときに着目したい波形と、離床や運動の前に照合する情報を整理します。

電解質異常で見られる心電図変化

 表は代表的な所見です。同じ波形はほかの病態でも見られるため、以前の心電図、症状、採血値を照合します。[1–5]

高カリウム血症で見るT波とQRS幅

 典型的な手がかりは、幅が比較的狭く、先端が尖ったテント状T波です。伝導への影響が強まると、P波が小さくなったり、PR間隔が延びたり、QRS幅が広がったりします。重症例では徐脈や重篤な不整脈が生じることもあります。これらの変化の出方には個人差があり、心電図が普段と同じように見えても、K値の上昇は否定できません。[1]

高カリウム血症で採血と照合すること

 腎機能低下や急性腎障害、透析の実施状況、カリウム製剤、ACE阻害薬・ARB、スピロノラクトンなどを確認します。採血検体の溶血でKが見かけ上高くなることもあるため、検査結果のコメントと再検の有無を確認します。高値や新たな波形変化があれば、溶血の記載があってもその時点で担当チームへ共有し、対応状況を確認します。[1]

低カリウム血症で見るT波とU波

 T波の平低化やST低下に加え、T波のあとに現れるU波が目立つことがあります。T波とU波が重なると、U波の終わりをT波の終わりと見誤り、QTが長く見える場合があります。自動計測のQTc延長を見たら、実際の波形と医師の判読も確認します。[2、5]

 背景として、ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬の使用、下痢・嘔吐などを確認します。筋力低下が新しく出たときは、発症時刻や採血値の変化と照らし合わせます。低Kが続く場合には、Mgの測定や補正の状況も確認します。[2、5]

 「心電図の異常波形の見方」の「QT延長とQTc」の記事を確認します →

カルシウムとマグネシウムの異常

カルシウムとQT間隔

 QT間隔はQRSの始まりからT波の終わりまでです。QTcは、QT間隔を心拍数の影響が小さくなるように補正した値です。低Caでは主にST部分が延びてQTが長くなり、重度の高CaではQTが短くなることがあります。[3、4]

 低アルブミン血症では、総Caが低くても、電気生理に関わるイオン化Caが保たれている場合があります。総Caを見るときは、アルブミン値と、測定されていればイオン化Caを確認します。[3]

低マグネシウム血症と不整脈のリスク

 低Mgは、QT延長を背景に起こる多形性心室頻拍の一種であるトルサード・ド・ポワント(TdP)の危険因子です。QTcが新たに延長していたら、MgとKの値、QTを延長させる薬剤の追加・増量、徐脈の有無を一緒に確認します。[5]

リハビリ前に確認すること

 採血と心電図の時刻

 最新値と前回値を確認し、採血・心電図・症状出現の時刻を並べます。電解質補正や透析を挟んでいれば、どの記録が治療前・治療後かを確認します。

 症状とバイタルサイン

 新たな動悸、めまい・失神前症状、急な筋力低下などの有無を確認し、脈拍・血圧と合わせて共有します。

治療経過と活動指示

 補正や再検の予定、モニターの指示、離床や運動の可否を確認します。新たな徐脈やQRS幅の増大、失神などがあれば、離床・運動を見合わせ、実施中なら中止し、施設の手順に沿って速やかに報告します。

 心電図所見を踏まえたリハビリでの対応を確認する →

利尿薬が増量された患者の例

心不全の患者で、利尿薬の増量後にKが前回より低下し、心電図でT波が平低化してU波が目立っていました。歩行練習の前に、採血時刻と心電図の記録時刻、症状、Mgの測定状況を確認し、K補正後の再検予定と当日の活動範囲を担当チームに確認します。

急性期から回復期、地域包括ケア病棟、療養病棟まで、電解質異常が新たに見つかったときは、患者の状態と治療経過、施設の基準、医師の指示を合わせて活動の可否を判断します。

 心不全で確認したい心電図所見を確認する →

関連ページ

採血の結果を見る / 投薬の情報収集 / 心電図所見を踏まえたリハビリでの対応

参考資料

[1] UK Kidney Association. Management of Hyperkalaemia in Adults.

[2] MSD Manual Professional Edition. Hypokalemia.

[3] MSD Manual Professional Edition. Hypocalcemia.

[4] MSD Manual Professional Edition. Hypercalcemia. [5] Drew BJ, et al. Prevention of Torsade de Pointes in Hospital Settings. Circulation. 2010.

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