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運動麻痺・失調の評価|代表的な評価方法と目的に合わせた選び方

 運動麻痺や失調は、手足を動かすことや、姿勢・歩行を保つことに影響します。しかし、同じ「動かしにくい」という訴えでも、その背景にある問題は異なります。

 評価では、力を出せるか、関節を選択的に動かせるか、動きの方向やタイミングを調整できるかを確認し、日常生活への影響と結びつけて考えることが大切です。

 このページでは、運動麻痺・失調に関連する評価方法を、目的別に紹介します。

運動麻痺と失調の違い

 運動麻痺と失調は併存することがあります。また、感覚障害、疼痛、関節可動域制限、筋緊張の異常などによっても、運動の様子は変化します。

 一つの動作ができないという結果だけで、原因を決めつけないことが重要です。

運動麻痺を評価する

 脳卒中後の運動障害では、評価したい内容に合わせて尺度を選びます。回復段階を把握する評価と、  個々の運動を詳しく確認する評価では、得られる情報が異なります。

Brunnstrom Stage:運動麻痺の回復段階を把握する

 Brunnstrom Stageは、共同運動や分離運動の出現状況から、脳卒中後の運動麻痺を段階的に評価する方法です。上肢・手指・下肢を分けて確認します。

 全体像を共有する際に役立ちますが、同じ段階の中にある細かな違いや、実際の生活動作は別に確認する必要があります。

FMA:運動機能を詳しく評価する

 FMA(Fugl-Meyer Assessment)は、脳卒中後の機能障害を評価する尺度です。運動項目では、共同運動や共同運動から離れた動き、協調性・速度などを確認します。運動以外にも、感覚や関節可動域、関節痛などの領域があります。University of Gothenburg

SIAS:運動麻痺と関連する機能障害をまとめて確認する

 SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)は、運動機能に加えて、筋緊張、腱反射、感覚、関節可 動域、疼痛、体幹機能、高次脳機能、非麻痺側機能を評価します。

 運動麻痺だけでなく、動作に影響する複数の問題を整理したい場合に役立ちます。jstage.jst.go.jp

Motricity Index:麻痺側の筋力を簡便に評価する

Motricity Indexは、代表的な上肢・下肢の運動課題を通して、麻痺側の筋力を簡便に評価する方法です。

力を出す能力の把握に用い、運動の選択性や巧緻性については、必要に応じて別の評価を組み合わせます。

STREAM:随意運動と基本動作を評価する

 STREAM(Stroke Rehabilitation Assessment of Movement)は、上肢・下肢の随意運動と基本的な移動動作を評価します。

 手足の動きと、寝返り・起き上がり・立位などの基本動作を関連づけて把握する際に役立ちます。

上肢の動作能力と生活での使用状況を評価する

 運動麻痺の程度だけでは、物を扱う能力や、日常生活での手の使用状況を十分に説明できません。

 そのため、検査場面で「できること」と、生活の中で「使っていること」を分けて確認します。

 例えば、検査では物をつかめても、生活では非麻痺側ばかり使っている場合があります。こうした違いを把握することで、練習課題や生活場面への支援を検討しやすくなります。

失調を評価する

 失調の評価では、動作ができるかどうかに加えて、動きの正確性、ばらつき、リズム、姿勢の安定性を観察します。

 上肢・下肢の協調運動だけでなく、座位・立位・歩行での変化も確認します。

SARA:小脳性運動失調の重症度を評価する

 SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は、歩行、立位、座位、言語、四肢の協調運動など、8項目で運動失調の重症度を評価する尺度です。

 実施方法をそろえ、経時的な変化を確認することが大切です。標準実施方法は、運動失調症の研究班からも公開されています。ataxia.umin.ne.jp

 なお、ふらつきには小脳性の問題だけでなく、深部感覚障害や前庭機能の問題などが関係する場合もあります。失調の尺度だけで原因を判断せず、感覚検査や神経学的所見と合わせて考えます。

評価目的から選ぶ

 すべての評価を毎回実施する必要はありません。対象者の状態と評価目的に合わせて選び、再評価では姿勢、教示、補助具、介助条件などをできるだけそろえます。

関連する評価も合わせて確認する

 運動の困難さを理解するためには、運動麻痺・失調以外の要因も確認します。

  • 感覚・反射・筋緊張:感覚入力や反射、他動運動への抵抗を確認する
  • 関節可動域・疼痛:動きを制限する要因を確認する
  • バランス・歩行:姿勢保持や移動への影響を確認する
  • ADL:生活上の困難さや必要な介助を確認する

 評価結果は点数だけでなく、代償動作、疲労、動作のばらつき、生活で困っている場面も記録し、目標設定やリハビリテーション計画につなげます。

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